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下請けをバカにするヤツは下請けに泣くはめに!! 変人・軽部が笑ったよ『下町ロケット』第7話

TBS系『下町ロケット』番組公式サイトより

 戦国武将・織田信長は「人生は50年。天界に比べ、人間の一生は夢か幻みたいなもの」という言葉を残して本能寺で散ったそうです。戦国時代と比べ、現代では日本人の平均寿命も大きく伸びました。40代~50代は言ってみれば“オッサン盛り”です。体のいろんなところから、オッサン汁が溢れ出し、実に味わい深い世代なのです。『下町ロケット』(TBS系)の主人公・佃航平率いる中小企業「佃製作所」は、戦国時代同様に誰が敵か味方か分からない経済戦国時代をまさに絶賛サバイバル中です。アクの強いオッサンキャラクターが群雄割拠する『下町ロケット ヤタガラス』第7話を振り返ってみましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

「佃製作所は切れ!」。神田正輝演じる「帝国重工」の“ダーティ重役”的場の顔面クローズアップから第7話は始まりました。次期社長の座を狙う的場は、財前部長(吉川晃司)が企画立案した無人農業ロボットを、自分の手柄にしようとしています。長年、「石原プロモーション」の重役を務めていたせいもあってか、『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)のドック刑事もすっかり腹黒い役が似合うようになりました。

 財閥系の大企業「帝国重工」は戦車などの軍需産業にも関わっているので、無人で動く農業トラクターなんて簡単に自社で製造できるだろうと的場は高を括っているのでした。「佃製作所」を製造ラインから外すように命じたその舌で、農業ロボット開発の第一人者である野木教授(森崎博之)が引き続き協力するように、佃社長(阿部寛)に頼めと言い出します。的場の無茶ぶりに、財前部長は苦悶します。神経の弱い人なら、心の病に罹ってしまいそうです。大企業の暗黒面がまざまざと描かれます。

■悪役たちのデフレーション現象

 舞台は変わって、新潟県燕市。実家の農業を継いだ殿村(立川談春)の前にも悪役が立ちはだかります。妻・咲子(工藤夕貴)が実家の様子を覗きに東京から訪ねてきたので、いいところを見せようと張り切っていた殿村ですが、お米の販売所で唖然としてしまいます。消費者に人気だった「とのむらの米」はそれまで販売所の目立つところに置いてあったのに、隅っこに追いやられていました。農林協に勤める吉井(古川雄大)の地味な嫌がらせでした。

 翌朝、殿村家の玄関前には生ゴミがぶちまけられていました。これも、どうやら吉井の仕業のようです。日本の農業の未来を考える財前部長らに比べ、何とスケールの小さな嫌がらせでしょうか。ミュージカル界の貴公子・古川雄大は、小悪党ぶりを楽しげに演じています。

 さらに場所は変わって、時代劇『水戸黄門』(TBS系)に出てきそうな立派な料亭。的場に恨みを持つ「ダイダロス」の重田社長(古舘伊知郎)はダースベイダー化した「ギアゴースト」の伊丹社長(尾上菊之助)らを集めて、ニヤニヤと的場に煮え湯をのませる策略を練っています。ダークサイドに墜ちた彼らは、成功者を地獄に引きずり込むのが愉快で堪りません。

「ヤタガラス編」は、どこもかしこも悪人ばかりです。古舘率いる悪のマシン軍団に加え、天才エンジニア・島津(イモトアヤコ)の後釜となった「ギアゴースト」の開発主任・氷室(高橋努)や的場の太鼓持ち・奥沢(福澤朗)も実に憎々しい表情で、ヒール役は過剰供給状態です。悪役俳優の存在価値が暴落しないか、ちょっと心配になります。

 これだけゲス野郎が多いと、「佃製作所」きっての変人・軽部(徳重聡)がまともに見えてくるではありませんか。「帝国重工」から切り捨てられた佃社長ですが、織田信長のようにここで散るわけにはいきません。目先の利益を求めるのではなく、日本の未来のために農業ロボットを独自開発することを全社員の前で宣言するのでした。「目指すは、まったく別次元のトランスミッションだ!」という佃社長の雄叫びに、トランスミッション開発チームの軽部は「ムフッ」と小さく笑みをこぼします。変人・軽部の表情の変化を追っているだけで、我々視聴者もほっこりするのでした。

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