助成金に頼りすぎ? ずさん経営で閉鎖も相次ぐ「企業主導型保育所」の落とし穴
企業が主に従業員向けに設置する「企業主導型保育所」で、保育士が一斉に辞めるなどのトラブルが相次いで表面化している。企業主導型は、認可保育所よりも緩い条件で設置できる一方、助成金は認可並みとあって、2年で約6万人の児童の受け皿に急拡大した。だが、中には資金繰りの見通しが甘かったとみられるケースもあり、主導する企業の力量次第で保育のクオリティも左右されそうだ。
東京都世田谷区の企業主導型の場合、同じ保育事業者が運営する2カ所で計18人の保育士や栄養士らが一斉に退職し、うち1カ所では今年4月のオープンから7カ月で閉鎖を余儀なくされた。
助成金の支給実務を行う「児童育成協会」の聞き取りに、保育士らは「賃金の未払いがある」と訴えたが、事業者側は未払いを否定。助成金交付の遅れを指摘しているという。ほかにも、開設2カ月で閉鎖したケースがあった。
これらの問題発覚後、同じように企業主導型を運営する関係者らに意見を聞くと、「経営者のマネジメント能力がないのでは」「資金繰りに失敗したんだろう」と手厳しい。おそらく、手厚い助成金を頼りにしすぎたのではないかというのだ。
企業主導型では、都市部の定員20人の参考例で、工事費などの整備費用が1億円以上助成される。運営費用の助成も、東京都心では年間約3,000万円にも上る。
だが、問題は、それがいつ支給されるか。関係者は語る。
「助成金を申請してから決裁までに2カ月、交付までにさらに4カ月から半年程度かかります。開園後しばらくは設置企業の資金で対応することになり、うまく回るようになるまで時間がかかる。立ち行かなくなった保育所は、そこまで考えてなかったのだと思います」
それにしても、なぜそんなに時間がかかるのか?
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