盆踊りが妙なブームになった裏の背景──「祭りは、どんな危ないクスリよりも気持ちいい」
今年の夏も全国各地で夏祭りが開催された。
近年、なぜか盆踊りが徐々にブームになっている。従来の盆踊りといえば、日々練習を重ねた地域住民が踊っているのが一般的な光景。ところが、最近はあちこちの盆踊りに顔を出す“盆踊りジャンキー”が増えているのだ。
ともすれば意識高い人たちが新たに目を付けたかのようなブームといえる盆踊り。でも、盆踊りに集まるのは、そういう人たちばかりではない。一部では「盆踊りや祭りは、どんな薬物よりもハイになれる」と主張する人も増えているのである。
「たいていの薬物は試してみたつもりですが、祭りの興奮はそれ以上だったんです」
そう話すのは、本業の傍ら祭りを求めて全国を飛び回っている男性である。人生の悩みから、一時はさまざまな薬物を試してみたというこの男性だが「一時的には気持ちよくなることができるが、永続はしない。身体には悪いし、何よりも非合法だし……」。
そんな男性が偶然出会ったのが「ある種の植物が自生している」と聞いて訪ねた、地方の村祭りだった。
「それは、今までに見ることのできなかった荒々しい祭りでした。太鼓の音がドンドンと響き渡る中で、村の人たちが踊っているんです。灯りも電灯ばかりでなく、かがり火が燃え盛っていて……気がつけば輪の中に入って踊り狂っていました」
太鼓の響きと、燃え盛る炎が忘れていた野生を取り戻したのか……とにかく、それまでに感じたことのない快感に酔いしれたという。以来、全国の荒々しい祭りを探しては、参加をしているという。
「そうした中で、生きる気力も湧いてきたのか、就職もしました。次は、あの祭りがあると考えれば、たいていの嫌なことは我慢できます。きっと昔の人は、こんな気持ちでつらい労働に耐えていたんでしょうね……」
ただ、困ったことに外部から訪れた人間が、自由に見学はできても参加できる祭りというのは、さほど多くない。そこで、自分を慰めるように夏は盆踊り。ほかの季節は神輿を担ぐなどしてさまざまな祭りに参加しているという。
「最近は、スイッチが入りやすくなったのか、祭りの太鼓とか、神輿を担ぐかけ声だけで、不思議な快感を得られるようになりました……」
祭りほどハイになれるものはないという、この男性。祭りを愛する人には、意外に同様の思考の人が多いのかも!?
(文=大居候)
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