それぞれのヲタクの“幸せ”のかたち――ドラマ『婚外恋愛に似たもの』最終話
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アイドル好きが高じて、アイドルに関わる仕事がしたくなる。ドルヲタならみんな考えたことはあるのではないだろうか。かくいう私も、若い頃は、アイドルをマネジメントする会社の社長になって、メンバーを自宅に下宿させることに憧れていた(当時はサンミュージックの社長が、所属アイドルを自宅に下宿させ育てるというのが話題になっていたのだ)。
さすがにその夢は叶わなかったが、結果的にアイドルライターなどという職業につき、アイドルと仕事で接する機会も多くなっている。では、アイドルをファンとして見続けることと、スタッフ側に回ること、一体どちらが幸せなのだろうか?
dTVで配信されている、栗山千明主演ドラマ『婚外恋愛に似たもの』。最終話では、ドルヲタメンバーがスタッフ側になるという驚きの展開を見せた。
推しているアイドルユニット「スノーホワイツ」(通称・スノホワ)が、所属事務所・ディセンバーズの経営不振により解散するとの報道がなされる中、美佐代(栗山)と雅(平井理央)は、解散を阻止すべく立ち上がる。
まず、経営コンサルタントである雅が、自らのツテをたどってディセンバーズに営業をかけ、アポ取りに成功する。応じたのは、改革に協力的な若手社員と、反対派の古株経理部長。雅は次々と会計報告の不明確なところを指摘する。そんな中、「有限会社マリキュン」という会社にお金が流れていることを突き止める。詳細がわからない中、会社の情報を、昌子(江口のりこ)、真弓(富山えり子)、真美(安達祐実)らとともに探し始める。
証拠を見つけたのは真美だった。彼女の夫が行っていたキャバクラの領収書にあった会社名で、金の行き先は、事務所の社長の愛人だったのである。事務所の再建計画を提案する雅。まずはリストラの断行、そして出資者を募ることだ。美佐代の提案で、秘書となった昌子とともに、雅は精力的に会社立て直しを図る。
一方、真美と真弓は、スノホワメンバーのレッスン場を訪ねる。解散の話が出て、その関係にもヒビが入りそうだったスノホワだが、経営再建の話を聞き、再び一つにまとまる。その姿を見て、真美と真弓も安心した気持ちになる。
経営再建は無事に進み、雅はディセンバーズ事務所の新社長に就任する。社員に向かって彼女は訓示する。
「アイドルはビジネスマンです。そのつもりで接してください」
実に雅らしい言葉だと思う。アイドルは一般の社会の中では特別な存在だろう。恋愛感情に近いものを抱く人も多いし、明確なタスクというものも曖昧である。しかし、一企業の立場で見れば、彼らは会社の利益を生む企業戦士なのだ。
当然、費用対効果を見て、収益にならないということになれば、解散も含めた軌道修正がなされる。「将来的な活躍に向けての投資」という見方もあるだろう。ただ、その将来性も含めて見極め、戦略を考えていくのが法人としての使命なのだ。
個人で活動しているアイドルを除けば、当然収益にはシビアにならざるを得ない。ファンも、そのあたりの事情は考慮した上で、要望を述べるべきだろう。CDの複数買いも、物販での散財も、グループの存続に役立っていると思えば、それはそれで嬉しいことだ。
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