現代篇なしでも違和感ないが、予告に大物女優!! すずが闇墜ちする『この世界の片隅に』第4話
#ドラマ #TBS #松坂桃李 #どらまっ子 #この世界の片隅に #松本穂香
8月6日は世界で初めて核兵器が実戦使用された日です。米軍の爆撃機B-29エノラ・ゲイが標的にしたのは、雲ひとつなくよく晴れた広島市でした。エノラ・ゲイが広島市の相生橋に向かって投下した原子爆弾によって、広島市は一瞬にして焦土と化し、十数万人もの命が奪われました。こうの史代原作コミックの実写ドラマ『この世界の片隅に』(TBS系)は、戦火に見舞われる前の広島市で生まれ育った平凡な女の子・すずが呉市へと嫁ぎ、戦時下の日常を過ごす物語です。迫りくる悲劇を前に、すずたちはどのような生活を送っていたのでしょうか。第4話を振り返りたいと思います。
(前回までのレビューはこちらから)
昭和19年(1944)8月。広島に原爆が投下される1年前です。すず(松下穂香)は呉湾が見渡せる段々畑で、美しい海岸の風景をスケッチしていました。以前、遊郭街に迷い込んだときに、親切に長ノ木への道順を教えてくれた遊女・リン(二階堂ふみ)へのお礼に、リンがまだ見たことのない長ノ木からの眺望をプレゼントしようと考えていたのです。ところが、スケッチしているところを憲兵(川瀬陽太)に見つかり、敵国のスパイではないかと疑われてしまいます。北朝鮮では観光客が気軽に風景写真を撮っていると、すぐに没収されてしまいます。当時の日本も似たような状況でした。
憲兵から叱責され、すずはしょんぼり。でも、これには義母のサン(伊藤蘭)と義姉の径子(尾野真千子)は大爆笑。天然キャラのすずがスパイに間違われたことが、おかしくてたまりません。まだ幼い径子の娘・晴美(稲垣来泉)まで一緒に笑っています。すずが嫁入りしたことで、戦時下でも笑いが絶えない北條家でした。そんな明るい北條家に、第4話ではさざ波が立つことになるのです。
■リンドウの花言葉は「悲しんでいるあなたを愛す」
第4話のメーンとなるのは、すずと遊女・リンとの交流エピソードです。劇場アニメ版では上映時間の都合で、片渕須直監督が泣く泣く割愛した原作コミックで描かれているすずとリンとの関係性を、実写ドラマ版は丁寧に掘り下げていきます。最近痩せたすずが産婦人科で妊娠していないかどうかを診てもらった帰り道、すずはリンと再会します。先日は、すずの姓が北條だと知り、態度を豹変させたリンでしたが、この日は機嫌を取り戻していました。同世代の女性ながら、遊女と主婦と異なる生き方をする2人は、子どもを産む意味や自分たちの居場所について語り合います。リンの“居場所がなくても生きていく”というタフさに、すずは素直に感銘を受けるのでした。
呉に秋が訪れ、昭和19年の終わりが近づいてきます。すずが納屋を片付けていると、リンドウの絵柄のかわいらしい茶碗が出てきました。夫の周作(松坂桃李)に尋ねると、「わしの嫁さんになる人が使えばええと思うて買うた」とのことです。しばらくして、すずは北條家の近くにリンドウの花が美しく咲いているのを見つけます。ちなみにリンドウの花言葉は「悲しんでいるあなたを愛す」です。そういえば、再会したときのリンはリンドウ柄の着物をまとっていました。すずの脳裏に3つのリンドウが並びました。いつもはぼーっとしているすずですが、さすがにこれにはハッとします。
周作がすずに縁談を申し込む前、結婚を考えていた相手がいたそうです。北條家の人は誰も教えてくれませんでしたが、周作の元カノはあのリンさんだったのです。慌ててすずは部屋に戻り、周作の机の中をガサ入れします。机の中から出てきた周作のノートの裏表紙は四角く破かれていました。それは字の書けないリンが「親切なお客さんに書いてもらった宝物」という名前、勤め先の住所、血液型が記された紙片と一致する大きさでした。
それまでは天然キャラで通してきたすずですが、優しい夫・周作の知られざる過去を知って、闇墜ちしていきます。「どうせ、私は代用品」と、周作が夜のおつとめを求めてきても、すずは拒むのでした。場面変わって、国防婦人会の集まり。竹ヤリを手にしたすずは、奇声を発しながら巻藁に向かって突撃します。すずのやり場のない怒りが炸裂します。第3話では周作にアイスクリームをごちそうになり、目をハートマークにしていたすずですが、一転してダークサイドへと転がり落ちていくのでした。現在、YouTubeで配信中のオリジナルドラマ『アストラル・アブノーマル鈴木さん』にも松下穂香は主演しており、心に闇を抱えた地方在住のユーチューバーを楽しげに演じています。劇場アニメ版の声優を務めたのんよりも、堀北真希的な女優に成長していきそうですね。
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