ジャニーズ事務所は山口達也の事件で完全に信用を失った
4月25日に発覚した、TOKIO山口達也(46)の女子高生への強制わいせつ容疑での書類送検。同日夕方にNHKニュースが第一報を伝え、テレビの民放各局、新聞、スポーツ紙、ネットニュース、様々な媒体が一斉に報じた。山口達也は4月26日に記者会見し、被害者や迷惑をかけた関係各位に謝罪するとともに芸能活動の無期限謹慎を発表した。
山口達也および記者会見に出席した顧問弁護士の説明によると、事件は今年2月12日に起きた。これまで業界内でも極秘裏にされていたが、実は山口は肝臓の調子を悪くしており、健康管理のため1月中旬から2月12日まで入院していたという。入院先の病院から仕事に通う生活をおよそ一カ月間続け、2月12日も早朝から仕事。午前中でその仕事を終え、荷物をまとめて退院、自宅に戻って昼から酒を飲んだそうだ。
2月12日は月曜日だった。山口達也は月曜と水曜に朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)のパーソナリティーを務めており、その仕事の後だったということになる。1人で焼酎一瓶ほどを飲み酔っ払った山口は、被害者となった女子高生に電話。話しているうちに「今からうちに来れば?」と呼び寄せたという。女子高生は友人を伴い、山口の自宅マンションを訪れ、強制わいせつの被害にあった。このとき山口は泥酔していたが、そのような犯罪行為をはたらいてしまったことは間違いないと容疑を認めている。
女子高生は警察に被害届を提出したが、そのことを山口が知ったのは3月末だったという。事件にもよるが警察は被害届を受理してすぐに逮捕に動くわけではないため、警察が「被害届が出ているので話を聞きたい」と山口に連絡したのが3月末だったということだろう。それから警察の事情聴取がはじまったが、そのときのことを山口は会見でこう述べている。
山口<3月末に取り調べが始まって、私の記憶を思い起こすのに1カ月もあったんで、やっぱり内容が内容なだけに、こういうことがありましたと(いうのは)すごく怖かったので自分でも。なかなか事務所の誰に相談していいかもわからず、3月の末から4月の頭にはすぐ相談して>
警察からの連絡を受けるまで、山口達也は自分が加害行為をしたとは気付いていなかった。会見でも「事件性があることだとは思っていなかったです」と発言しており、2月12日以降3月末まで、自分が犯罪を犯していたと知らずに、普通に仕事をしていたという。
しかし山口および所属するジャニーズ事務所が事件だと認識した4月頭から、事件が報道されることとなった4月25日までの期間、山口は3月末までと同じように、テレビ収録や生放送などの仕事に臨んでいた。4月25日も、フジテレビのスタジオで『TOKIOカケル』の収録をしており、事件が報じられたと知ったのは収録後の18時半頃だったという。
この点について、記者会見では「今回報道がなかったらそのまま活動を続けるという考えだったんですか?」「隠蔽するつもりだった?」と鋭い質問が飛び交った。山口は隠蔽の意図は否定したが、「いつか公表したいと思われていた?」との質問には、混乱をうかがわせた。
山口<それは今はちょっとわからないです……。3月の後半にこういうことになって、バタバタバタバタ、捜査をしている最中なので。まだそこまで、どうしようかということまでは考えておりません>
事件報道があった4月25日の朝、山口達也はいつもどおり『ZIP!』に出演していた。どういう気持ちで仕事に臨んでいたのかを聞かれ、言葉に詰まりながら、こう応えている。
山口<視聴者の方とか関係者の方には申し訳ないなという気持ちで、毎日過ごしてまいりましたが……やはり、私もプロとして仕事をやらせていただいているので、そこでおかしな行動であったり発言であったりすることは、スタッフや視聴者の方、ファンのみなさんに失礼にあたるので……反省しながら、でも仕事はしっかり今まで通りやる、ということを決めて、はい。やってまいりました>
山口<仕事はやっぱり、やらなくてはいけないので。いただいた仕事は、一生懸命やっていました>
ジャニーズ事務所の責任
今回の事件により、出演番組をはじめ、TOKIOとしてPRしていた商品やイベントの関係でも多大なる損害が出ていることは間違いない。どれだけ大勢の人間が迷惑を被ったか数えることは困難だろう。そして事件当日に現行犯逮捕されたというのではなく、事件化していると認識しながら一カ月近くにわたりいつもと同じように仕事をこなしていたことが、かえって信頼性を損なっている。
山口達也が自らの抱えているものを見せずに仕事をこなしていたというのはある意味ではプロ意識の強さだが、視聴者やスタッフ、スポンサーへの裏切りという側面もある。ジャニーズ事務所は被害届が提出されているとわかった段階で、仕事をストップさせるべきだったのではないか。それが本人のためでもあったのではないだろうか。
もちろんジャニーズ事務所は情報をもたらされた直後から、今後の予定を考え、関係各所への根回しについても検討を始めていただろうが、内々に情報を伝える前に事件が報じられてしまったことで、信頼を大きく損なった。どのCMクライアント、テレビ局にとっても、青天の霹靂だっただろう。
アルコール依存やメンタルの落ち込みなどの問題を抱えていた様子の山口達也。彼は46歳の大人で、タレントという自営業者のような立場だが、適切な休養とケアを必要としていたのかもしれない。数年前からクリニックへ通院していたことは明らかになっている。おそらく責任感の強い性格であろう山口を説得するのは容易なことではないのだろうが、無理して仕事を続けさせず、こうなる前に、体調不良で休養という選択をマネジメントできていれば……と悔やまれてならない。無期限謹慎がいつか解けるのかも現時点ではわかりようがないが、反省はもちろんのこと、まずは適切な医療を受けるなど体調を整え静養してほしい。
(清水美早紀)
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