“悲劇の朝ドラヒロイン”夏菜の大逆襲!? 「損して得した」5年間の遠回り
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今回取り上げるのは、女優の夏菜。2012年度下半期の朝ドラ『純と愛』(NHK)でヒロインを務めたが、今やバラエティで見かけることのほうが多い。
例えば、1月16日放送の『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)。埼玉県出身の彼女が、千葉県出身の小島瑠璃子と地元をめぐってバトルしていたのだが、「埼玉に行かずに一生終えられる」というこじるりの暴言に、「ピーナッツ食ってろ!」と反撃していた。
■「朝ドラヒロインは売れる」という定説を覆した異色の女優
夏菜の人生は、波乱に満ちている。『純と愛』以外で、これまで主演したドラマはたった2本。1本は、13年の『世にも奇妙な物語’13秋の特別編』(フジテレビ系)。もう1本は去年、民放連ドラ初主演となった『ハケンのキャバ嬢・彩華』(朝日放送・AbemaTV)。これは深夜ドラマだ。
ちなみに15年、西内まりや主演のドラマ『ホテルコンシェルジュ』(TBS系)に、客室係としてレギュラー出演していた夏菜。ところが彼女に割り当てられたセリフは、「お荷物お預かりしました」「おかえりなさいませ」「私もそう思います」といった二言、三言だけだった。寡黙な役柄だったこともあるが、当時は「朝ドラヒロイン」の末路を見た気がした。
女優としてのキャリアが進まなかった原因は、やはり『純と愛』の朝ドラらしからぬストーリーにあるだろう。母は認知症、父は水死、夫は昏睡状態、経営するホテルは全焼と、悲惨すぎる展開で賛否両論を巻き起こした。
■朝ドラ優等生 芳根・吉岡の暴落
さて、そんな足踏みする夏菜を、ほかの朝ドラヒロインたちが猛スピードで追い抜いていった。
例えば、2016年度下半期の『べっぴんさん』のヒロイン・芳根京子。現在、月9ドラマ『月海姫』(フジテレビ系)の主演を張っている。
2015年度下半期の『あさが来た』の丸メガネ美女・田村宜役で注目を浴びた吉岡里帆も、今回、『きみが心に棲みついた』(TBS系)で連ドラ初主演を務めている。
だが、その視聴率がすこぶる振るわないのだ。『月海姫』の初回からの数字は8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)→6.9%→5.9%と順調に下落。『きみ棲み』も第1話から3話まで9.4%→8.5%→8.4%と低空飛行。「朝ドラヒロイン」という肩書は、今や十字架としてのしかかる。
■ダウンタウン・松本も驚いた心の闇
だが夏菜の場合、「朝ドラっぽくない」朝ドラに出たおかげで、良くも悪くも「朝ドラ女優」という呼び名に縛られることがなかった。それがうまく作用したのが、去年6月の『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)への出演だった。
『純と愛』の時は、脚本家・遊川和彦氏が週に1回、撮影している大阪にやってきては「お前の技術はゼロだ!」などとダメ出しされ、号泣の日々を過ごしていたという。あまりのつらさに彼女はトイレに籠城し、出てこないときもあったとか。
そんな夏菜が、大御所・ダウンタウンを前に、撮影時の鬱憤を爆発。「マジで毎日酒まみれ。飲まなきゃ、やってられなかった。マネジャーにも当たり散らしていた」などとぶちまけたのだ。これで風向きが変わった。
テレビ業界で悪評が広まる速度は、意外と遅い。関係者が、その人と仕事している間は口をつぐむからだ。しかし良い評判というのは、常に人材を探している業界では、すぐに広まる。「夏菜が面白い」というウワサは、たちまち駆け巡った。
「朝ドラ史上最大の迷作の、史上最高のバッシングを喰らった悲劇のヒロイン」夏菜。
最近出た『痛快TVスカッとジャパン』(同)では、悪女役を生き生きと演じていた。チョイ役を演じることが多い彼女だが、なんだかんだでキャリアは十分ある。もちろんバラエティを主戦場にするのもいいだろう。5年の遠回りを経て、ハガネのメンタルを身につけた朝ドラ“落第生”。その逆襲に、大いに期待したい。
(文=都築雄一郎)
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