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日刊サイゾー トップ > カルチャー  > “エロ本絶滅の危機”に編集者が悲鳴

ミニストップの「排除」で近づく“エロ本絶滅の危機”廃業して無職になる編集者たちの嘆き

※イメージ画像

 コンビニのミニストップが、来年1月から国内全店約2,200店で成人向け雑誌の販売を中止すると発表した。これには、いわゆる「エロ雑誌」を作る側の業界から「絶滅に近づいた」との悲鳴も聞かれる。

 あるエロ雑誌をひとりで制作している56歳の編集者男性は、売り上げが今後も下がり続けると「廃業して無職になる」と明かす。

「全盛期8人いた編集者は、売り上げが減るたびに雇う費用がなくなってクビになり、2年前から僕ひとりだけ。エロ雑誌しかやってこなかったので、いまさら転職先もない。なんとか自分の給料が出る環境を守ろうと必死ですよ。発売元からは『赤字になったら休刊』と言われていますが、制作予算は過去最低の数十万円で、次の号の制作費を捻出できるギリギリの線でやっています」

 イオングループ傘下のミニストップは、コンビニ最大手のセブン-イレブンなどとは違った独自色の濃い運営で知られる。早くから食事スペースを作るなどの路線で他社との差別化を進めてきたが、今回の決定は、まさにその食事スペースの利用客でもある子ども連れの女性客からの声に対応した結果だとされる。

 ただ、もともとエロ雑誌がミニストップで大きな売り上げをあげていたわけではなく、インターネット普及以来、雑誌全体のセールスが右肩下がりで、弱小雑誌はいつ取り扱いがなくなってもおかしくない状態が続いていた。

 店によっては「エロ雑誌を置く場所を、ほかの商品に使いたい」という要望を出すところもあったという。ましてチェーン全体のイメージに関わるエロ雑誌については、小さな売り上げにこだわるより、全廃して評判を上げ、新規客を獲得する方が正常な経営判断という声も多く、小売業者としては当たり前の話かもしれない。

 セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ大手3社は現時点で今後の対応を決めてはいないが、前出編集者は「エロ雑誌の業界シェアは大手3社で8割以上あって、ミニストップの市場占有率は小さいんですが、イオングループがそういう判断をしたというニュースのインパクトは大きい」という。30年以上もエロ雑誌の制作だけ飯を食ってきたからこそ「いよいよ失業を覚悟しなくてはいけなくなってきた」と諦めムード。

「いまや大手の書店チェーンでもエロ雑誌は置いてくれなくなりましたからね。わずかな部数で成り立つ中途半端なマニア本は、僕みたいに編集者ひとりふたりで細々やってますが、書店流通が全滅状態なので、最後の生命線はコンビニ。これがなくなったら営業終了以外に道はないです」(同)

 この編集者は過去、一部コンビニに対して「プライベートブランド」の独自エロ雑誌の企画を交渉していたことがあるという。

「昔はまだ、そんな話も検討はしてくれましたが、今じゃ打ち合わせのテーブルにもついてくれないです。エロ雑誌の編集部の多くは都内にあるんですが、その東京都には『青少年健全育成条例』があるので、条例に引っかけて潰すのも知事の裁量ですぐやれる話。もしかすると、支持率急落の小池(百合子)知事が人気取りでそこまでやるかもしれないですよ。前に石原(慎太郎)都政でも、歌舞伎町の浄化作戦とかで風俗店が一掃されたでしょう?」(同)

 過去、1冊に数百万円の予算があったエロ雑誌も、「いまでは10分の1以下で、女性の写真や動画を撮る余裕すらもなくなり、AVメーカーなどから素材を借りて作っている状態」と編集者。

「そのAVも出演強要問題が出てから、それまで緩かった出演者の権利保護が厳しくなって、出演作品の二次使用も許可が必要になり、使用しにくくなっています。だから素材供給と流通経路、まさに八方塞がりなんですよ。さらにエロ雑誌は作り手も買い手も高齢化しているので、いずれは絶滅するんでしょうけどね」(同)

 これも止められない時代の流れか。

(文=高山登/NEWSIDER Tokyo)

最終更新:2017/11/26 18:00
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