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映画愛をむさぼる悪徳プロデューサーは実在する!? 地方ロケの内情を映画化した『エキストランド』

えのき市で大歓迎されるプロデューサーの駒田(吉沢悠)と監督の石井(戸次重幸)。映画が面白ければ、問題にならなかったかも。

 映画やテレビドラマの地方ロケに、今や欠かせないのがフィルムコミッション(FC)。ロケ地に選ばれれば撮影クルーが長期間滞在することで地元経済が潤い、映画やドラマがヒットすれば地域のPRになり、町おこし&村おこしにも繋がる。ロケ場所の斡旋からエキストラの募集まで無償で対応するFCは、ゼロ年代に入ってから全国各地で続々と誕生した。だが、そんな地元を愛し、映画製作を応援してくれる人々の善意をしゃぶり尽くそうとする悪徳プロデューサーがいるらしい……。11月11日(土)より劇場公開が始まる吉沢悠主演映画『エキストランド』は、各地のロケ現場で実際に起きているトラブルの数々を盛り込んだコメディタッチの問題提起作となっている。

 本作の主人公は、映画プロデューサーの駒田(吉沢悠)。前作が大コケしてしまい、プロデューサー生命が危うい状況だった。仕事がまるでない駒田は、芸能プロダクションの社長(仁科貴)が税金対策のために製作する映画『フリーター、ひとりで家を建てる』のプロデューサーを引き受けることに。「脚本は一字一句も変えちゃダメ」という無茶な注文だったが、どう転がしても面白くならないこの脚本を無事に映画化できれば、次回作は人気俳優を主演に据えた大作を撮らせてあげると言い含められる。えのき市がFC業務を始めたばかりなことに着目した駒田は、えのき市役所のFC担当・内川(前野朋哉)やボランティアで参加した地元の人々をいいようにコキ使った非道極まりないロケ撮影を始める。すべては、映画プロデューサーとしての駒田の実績づくりのためだった──。

 

『エキストランド』がロケアップした瞬間。田中雄之プロデューサー(左から2番目)を中心に安堵の輪が広がっていく。

 本作を企画し、『東京ウィンドオーケストラ』(17)などで知られる新鋭・坂下雄一郎監督と共同で脚本を書いたのは田中雄之プロデューサー。全国13カ所のFCをリサーチして回ったという田中プロデューサーに、地方ロケで起きているトラブルの実例や本作に登場するような悪徳プロデューサーは実在するのかどうか訊いてみた。

──田中プロデューサーの前作『らくごえいが』(13)も、映画製作の裏側を描いたバックステージものでした。FCを題材にした『エキストランド』は、どのような経緯から生まれた企画だったんでしょうか?

田中 プロデューサーである僕が、映画製作を題材にした映画が好きなんです。岩井俊二さんがプロデュースした『虹の女神 Rainbow Song』(06)が大好きな映画のひとつなんですが、これも映画製作の話です。園子温監督の『地獄でなぜ悪い』(13)や古いところでは『雨に唄えば』(52)も好きです。映画の製作現場ってすごく人間的なところだし、決していいことばかりでもない。描き方によってはコメディにもホラーにもなると思うんです。FCを題材にしたのは、僕自身の実体験から。以前、短編映画をプロデュースした際に「わたらせフィルムコミッション」のお世話になったんですが、ロケ場所のコーディネイトから細かいことまでいろいろと支援してもらい、すごく助かった。逆に四国でロケした際は、たまたま同時期に他の作品の撮影と重なっていたため、地元FCの協力なしで撮影したんですが、とても大変でした。FCなしでの地方ロケは難しい。それもあって、FCの方たちに興味が湧き、各地のFCを訪ねてお話を聞いて回ったんです。取材をもとに最初は僕が企画や脚本を開発していましたが、映画業界以外の人たちにも楽しめるようなエンタメ作品として仕上げるため、脚本開発から坂下監督に参加してもらったのが『エキストランド』なんです。

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