スマホゲームに熱中しすぎて警報音に気づかず……“世界最強”うたう中国人民解放軍が崩壊間近!?
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中国では今夏、人民解放軍の元特殊部隊員がアフリカを舞台に活躍するアクション映画『戦狼2』が大ヒットした。“中国版ランボー”ともいわれるこの映画は、一部で「愛国精神の鼓舞のためのプロパガンダだ」などと指摘されているが、興行収入は日本円で800億円を超え、世界歴代映画興行収入のトップ100入りが確実となった。人民解放軍を世界最強の軍隊とうたう中国共産党にとっても、いい宣伝となったはずだ。ところが、リアルな人民解放軍は、映画の中のヒーローとは随分違うようだ。近年では特に、若い兵士の教育に手を焼いているのだ。
「多維新聞」(9月11日付)によると、7月23日に中国北部の空軍基地で夜間演習が行われたが、とある理由で大失敗に終わったという。演習の当日、緊急演習を知らせる防空警報が基地内に鳴り響き、兵士たちに緊張が走った。兵士たちは通常、警報音が鳴るとすぐに持ち場へ集合して点呼をするのだが、このとき5人の兵士が集合場所に現れなかった。一体5人の兵士は何をしていたのだろうか――。
軍内部の調査によると、彼らはちょうどそのときイヤホンをつけ、スマートフォンのゲームに熱中していたため、演習の警報音にまったく気がつかなかったというのだ。中国メディアでは、「一人っ子政策時代に生まれ、大事に育てられた小皇帝(一人っ子政策以後生まれた子どもたちのこと)らしい出来事」だと、あきれ気味に報じている。
現在、人民解放軍の兵士のうち、実に7割以上が一人っ子だといわれている。入隊したばかりの男性隊員はメディアの取材に対して、「僕も一人っ子で大切に育てられました。訓練は、すごく厳しいです。実家と彼女が恋しくて、毎日、布団をかぶって泣いています」と弱音を吐くなど、なんとも頼りない。
こうした軟弱兵士が増える中、実は過去にも事件が発生している。2011年に瀋陽軍区で行われた軍事演習では、若い兵士が携帯音楽プレーヤーを使用していたことが原因で、敵兵役に発見され、演習は失敗に終わったと報じられている。このほかにも、災害派遣時に「危険だから災害現場には行きたくない」とゴネたり、仮病で訓練を休む困った新人兵士の存在について、たびたび報じられている。
さらに、もっと深刻な問題も顕在化してきている。
「人民解放軍は今、実質的に志願制となっていますが、入隊のための検査の不合格率が、近年急上昇して問題になっています。軍公式のSNSアカウントが8月に発表したところによると、ある地域の検査では、56.9%の志願者が不合格になったといいます。原因は、ジャンクフードの食べすぎ、偏食による臓器へのダメージや体重超過、さらにスマホのやりすぎによる視力低下などがあります。このままでは、兵士のなり手はいなくなりますよ」(中国の軍事事情に詳しいジャーナリスト)
近年、南沙諸島や東シナ海をはじめ、周辺諸国との軍事的な小競り合いが目立つ中国だが、その最大の弱点は、こうした世間知らずの若い世代の兵士の存在だと指摘する専門家もいる。そのうち、歩きスマホをしながら前線を進む人民解放軍の姿も見られるかもしれない。
(文=青山大樹)
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