単なる“つまらん街”になっていく……「カフェ本」もなくなった本郷の街に、訪れる価値などあるのか?
2017/07/06 22:30
#昼間たかし
テナント募集の文字が寂しい……
「なんか、かねやすが閉まってるよ」
そんな話を人づてに聞いたのは春頃のこと。
「本郷も かねやすまでは 江戸の内」
と長らく伝えられ、その言葉を記した看板もある、本郷三丁目角のかねやす。確かめに行くと、確かに閉まっていた。江戸の始まりから400年以上も続く老舗もついに……と感慨深くなりつつも、多くの人はこう言う。「ところで、なんの店でしたっけ?」と。
江戸時代、元禄年間には歯磨き粉の製造販売でにぎわったという店舗。今は雑貨屋だったと思うのだが、「洋品店じゃない?」「カバン屋だったかな」と、人の記憶は曖昧なもの。
筆者もそうだが、店に足を踏み入れたことがあるという人は、まったく見ないのである。ともあれ、店は閉まっても7階建てのビルの名前は「かねやすビル」。掲げられた川柳も容易に失われることはなさそうだ。
この看板だけは残り続けるのか
これが象徴というわけでもあるまいが、いま本郷で起こっているのは「フツーの街」化という現象である。
本郷といえば、まず目立つのが東京大学。それを中心として、味のある店や人々が住まう地域が広がっていた。だが、21世紀、それも2010年代に入ってから、過去のものになろうとしている。
明治時代そのままの建物で下宿屋として営業していた本郷館も、11年に消滅。文化財になる可能性を指摘される建物も、こんな都心にあっては保存よりも土地の有効活用の声にあえなく敗北。
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