東京オリンピックによるビッグサイト使用中止問題解決へ向け、ついにデモが開催
#東京五輪 #昼間たかし
果たして、コミケは、そしてビッグサイトはどうなるのか。
2020年、東京オリンピック・パラリンピック開催のために東京ビッグサイトが使用できなくなる問題。コミックマーケットのみならず、数多くの産業の展示会などの開催が困難になり、巨額の損失や倒産が危惧されている。
これにより被害を受ける企業や業界団体は、すでにさまざまな形で東京都への働きかけや署名活動を行っているものの、結果は芳しくない。昨今、マスコミでの報道は増えているものの、オリンピックで東京ビッグサイトをメディアセンターとして使用することと、そのために1年あまりの閉鎖期間が設けられるのは、既定路線になっているのだ。
そうした閉塞状況の中で、6月22日、ついに「ビッグサイトを使わせろ!!」と呼びかける都庁一周デモが開催され、400人あまりが集まった。
このデモを呼びかけたのは、展示会には欠かせないディスプレイ業に携わる人々を中心とした「展示会産業で働く人々の生活と雇用を守る会」。ディスプレイ業の中には東京ビッグサイトで開催される展示会の仕事が収益の多くを占めている企業が多く、オリンピックによって使用できなくなることは、完全に死活問題となっているという。
今、デモという形で声を上げることを決意した理由を、同会の下茂貴樹さんは語る。
「ビッグサイトをメディアセンターに使うのは、本当にやめてほしい!! もうオリンピックまで時間がありません。2年後の今頃には、ビックサイトの利用制限はすでに始まっています。多くの関係者が小池都知事と都に働きかけ、署名も集まっています。その署名、14万7,000筆以上を都に渡していますが、返事もありません。このままでは、状況が変わるようには思えなかったんです」
下茂さんの語る、ディスプレイ業界への影響は驚くべき規模のものだ。
「当社では3~4割。中には、東京ビッグサイトでの仕事が8割という会社もあって、東京ビッグサイトが使えないと潰れてしまいます。ホントにどうしたらいいかわからないという声も聞いています。関係各所に引き続き働きかけていきたいとは思っています。なんとか小池都知事には耳を傾けてもらいたいんです。もう時間はないんです」
参加者の中には、同人誌業界の関係者も。その中の一人、同人誌印刷を専門とする株式会社・緑陽社の武川優さんは、もっと同人誌関係者にも声を上げてもらいたいという気持ちを、次のように語る。
「割りとマスコミが協力してくれています。だから、サークルさんも声を上げてくれるといいと思っています。もっと盛り上がってくれないと……」
こうして、集合場所の新宿中央公園を出発したデモは50分あまりかけて都庁を一周。ディスプレイ会社に勤務するという女性からは、こんな熱い言葉が。
「死活問題です。これで状況を変えるのは難しいかもしれないけど、何もやらないよりはやるほうがよいです。オリンピックも成功して、私たちの生活も守られるようにしたい。そうじゃないと、オリンピックが楽しめません!!」
また、デモそのものが初体験という、同じくディスプレイ会社勤務の女性は「新入社員で入ったばかりなのに、こんなことになってるなんて……」と、さらに変わらない状況への焦燥感を滲ませていた。
東京オリンピックによって、コミックマーケットのみならず、あらゆるイベントや関連企業が死活問題という状況は、一向に変わる様子を見せていない。この状況に都は、まだ無視を続けるのか……。
(文=昼間たかし)
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