12歳女児の卵巣から6キロの異物が……中国で“リアルピノコ”巨大奇形腫の出現が相次ぐ
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手塚治虫の『ブラック・ジャック』に出てくる“ピノコ”を彷彿とさせる症例が中国で相次いでいる。
湖北省大悟県に住む12歳の女児、娟娟ちゃんは、両親が武漢に出稼ぎに行っているため、祖父母と暮らしている。今年3月初旬、シャワーを浴びていると、自身の腹部が膨らんでいることに気づいた。触ってみるとしこりのようなものがあったが、特に痛みなどはなく、太っただけだと思い、祖父母に話さずにいた。それから2カ月ほどたつと、腹は日に日に大きくなり、学校の制服を着るのもままならなくなった。まるで妊娠したかのように膨らんだ腹は、さすがに隠し通すこともできなくなった。
5月7日、武漢から帰ってきた両親に伴われて病院へ行くと、卵巣の中に奇形腫があることがわかり、2日後、緊急手術が行われた。手術は2時間にも及び、重さ約6キロもある腫瘍を摘出。幸いにも良性だったが、腫瘍の中には人間の骨組織が確認された。
また最近では貴州省で、43歳の女性の卵巣から、重さ約7.5キロの奇形腫が摘出されている。この女性は、17年前に出産を終えたあと避妊手術を受けていたが、ここ3年くらいの間に腹が膨らんできたため検査を受けると、奇形腫があることがわかった。このケースも良性だったが、摘出すると、毛髪や歯が生えていたという。
奇形腫は、胚性幹細胞が異常分裂して形成される。多くの場合は出産時に発見されるが、まれに見落とされることがあり、嬰児の成長とともに腫瘍も大きくなっていくのだという。
奇形腫自体はそれほど珍しい症例ではないが、ここまで巨大化することは異例。中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏は「先進国であれば、初期の段階で発見されるが、医療格差の大きな中国では、本人が異常を感じてもなすすべがなく、放置されるうちに巨大化してしまうのでは」と、その要因を指摘する。
『ブラック・ジャック』のピノコは、双子の姉から摘出された奇形腫の中にバラバラに存在していた脳や内臓を組み立てて作られた存在だった。最後まで健常者になることに憧れ続けていたピノコの声が、中国で人間らしい扱いを受けることができない貧困層の嘆きに重なるような気がする。
(文=中山介石)
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