バニラエア比国便で「パイロット行方不明」騒ぎ!? 実際には“体調不良”も「激安旅行」の深すぎる落とし穴
#LCC
「こんなことってあるのかよ! パイロットが行方不明だって?」
「振替え便もないなんて、おかしいですよ」
4月7日の午前11時すぎ、成田空港ターミナル3で、ANAホールディングス100%出資のLCC航空会社バニラエアのチェックインカウンターが騒然としていた。フィリピン・セブ島行きの13時20分発、JW601便が「欠航」となってしまったからだ。
「本日、下記の運航便は、乗員繰りのため、欠航が決定いたしました」
スーツケースを持った、たくさんの旅行客がこう書かれた張り紙の前に立って呆然としている。「乗員繰り」というのは、乗務員の確保ができない場合だというが、現場ではそれ以上の詳しい説明がなく、一時は「パイロットが行方不明」というウワサまで聞かれた。激高していた客の多くは、旅行代理店を通してチケットを買っていたようだ。別の張り紙には、こうあった。
「代理店経由でご予約頂いたお客様はカウンターでの便の振替えならびに返金はできませんので、直接代理店へお問い合わせください」
旅行代理店でツアーを申し込んだ客は、現場での対応をしてもらえなかったのだ。バニラエアのスタッフに何か質問する人たちもいたが、返答の大半は「すみませんが、旅行会社の方に……」といったものだった。
通常、欠航であれば旅行代理店から代金の返金はされるが、収まらないのはこの旅行のために地方からやってきた人や、現地ホテルを別途、独自に予約していた人だ。
「秋田県からやってきたのに、旅行会社から返金されるのはバニラエアの航空券代3万数千円だけ。これから秋田に帰るのに、その往復交通費はどうにもならないそうです」(60代男性)
「ネットで現地ホテルを4泊、4万8,000円で予約しましたが、宿泊日3日前以降だと代金は100%返金されない。明日以降に何とかして行かないと、すべてがパー」(20代女性)
こちらが取材者だとわかると、やり場のない怒りをぶつけるように被害者たちが話をしてくれたが、中には中国語で叫びながらキャリーバッグを蹴飛ばす中国人男性もいた。失ったのは金銭だけではなく、「セブ島で先に着いている友人と会う予定だった」とする女性や「大事な仕事の打ち合わせがある」と嘆く人もいた。
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