『君の名は。』中国で90億円突破も、実入りは3億円だけ……“クールジャパン”の課題とは
#映画 #アニメ #中国
今夏に公開された新海誠監督のアニメ映画『君の名は。』が、12月2日に中国でも公開され、日本でのヒット作という前評判も手伝って公開初日にアニメ映画としては歴代2位の224万人を動員する大ヒット。その翌日の興行収入で早くも24億円に達し、公開2週間で日本アニメの同国での最高益87億円を記録した『STAND BY ME ドラえもん』を超える90億円を突破した。
しかし、映画関係者からは「おそらく、どれほど収益を上げようと、日本に入ってくる利益はわずか2,000万元(約3億3,000万円)だといわれている」という話が出ている。興行収入と比べて、あまりに少ない額なのはなぜか?
「中国の映画輸入システムは、諸外国にとってかなり不利なんです。中国で放映される海外作品は主に、あらかじめ分配率を定めるロイヤリティ方式と、一定額で買い取ってしまう2種類があるんですが、それぞれに年間の本数制限が設けられて、ロイヤリティを選びたくても枠が埋まっていて仕方なく買い取りを選ぶケースもあります。映画の場合、ヒットするかどうか不透明な部分もあるので高値が付きにくいんですが、聞いたところ『君の名は。』は買い取り式で、中国映画製作大手の光線伝媒が権利を獲得して、中国でどんなにヒットしても日本サイドに大金が落ちてこないそうです」(同)
政府がクールジャパンで海外にコンテンツを売り出すことをぶち上げているが、自国にまっとうな利益が落ちる仕組み作りには着手できていないようだ。
「しょせん、海外戦略なんていってもその程度。アメリカのディズニーみたいにバカ高い著作料を取るようなビジネスができていないのは、特に中国のような特殊な国だと民間企業ではどうにもならない部分が多く、それこそ政府に助けてほしいんですよ」(同)
そもそも中国では、当局の情報統制が強いことから興行関係には制約が多く、日本企業が自力で現地商売をするのは、ほぼ不可能。プロレスや格闘技の大会、音楽コンサートの分野でも、開催直前に役人の茶々が入って中止に追い込まれたことが何度もある。ただ、そもそも日本側が海外相手の商売を不得手とする部分も大きい。「そこは昭和の時代から変わっていない」と話すのは、古いアニメ制作会社の経営者だ。
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