“売春マンション”から“未解決事件”まで……今日も冥府魔道を闊歩する『鈴木智彦の「激ヤバ地帯」潜入記!』
#本
ヤクザ専門ライターとして活躍する、鈴木智彦の著作『鈴木智彦の「激ヤバ地帯」潜入記!』(宝島社)では、我々の知らない世界をのぞくことができる。
本書に登場する“激ヤバ地帯”は、多岐にわたる。ゲイが集まる“売り専バー”で働き、自らも美少年を買ったという男色「激ヤバ」地帯をはじめ、最近流行りの相席居酒屋や、不倫専門サイトで女性にアタックをかけまくる、中年性欲「激ヤバ」地帯。さらに、海外でシノギを展開するヤクザを追った、混沌のアジア「激ヤバ」地帯など、その“激ヤバ”っぷりに血の気が引くが、何よりそこへ身を投じる鈴木もまた“激ヤバ”だといえるだろう。
香港では“売春マンション”に潜入。もともと、香港産として日本で出回るウナギの一部が密漁もので、マフィア経由で香港に集められているとの情報を探るために潜入した。
しかし、その情報を確かめることができずに帰国となってしまった。そこで鈴木は、香港で有名な“売春マンション”、通称ピンポンハウスへの潜入を試みたそうだ。この“売春マンション”、名前の通りマンションの一室一室がそのまま個室になっていて、ピンポンを押して出てきた女性が好みなら、部屋に上がり込み本番ができるというもの。スケベな旅行者がいるようで、ネットでは日本語で場所を紹介するサイトもある。
鈴木は、丹念に全ての部屋を回り、楽しんだそう。その怪しさから非合法的にも感じるが、香港国内でも有名な合法風俗だ。
奇怪な謎を残した「水曜日の絞殺魔事件」についても語っている。付き合いのある元暴力団の知り合いが、この事件の犯人とされてしまったということで鈴木を頼ってきたそう。
「北方事件」「佐賀女性7人連続殺人事件」とも呼ばれるこの事件は、1975~89年に佐賀県で起きたもの。結論から言えば、この助けを求めた人物は犯人ではない、と鈴木は見ている。過去にも、この人物の支援者の元に脅迫状が届いていたという。
鈴木は、自ら事件について情報を集め、疑わしい人物の目星がついていると語る。「捜査に時効はあっても取材に期限はない」と鈴木は言った。
ほか、鈴木が自ら体験した“激ヤバ地帯”を221ページ、全8章に渡って網羅。読み応えのあるルポとなっている。
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