本命とはエッチせず、非本命とエッチしちゃう! 肉体言語としてのSEX『好きでもないくせに』
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人間の心の中にある、まだ言語化されていない曖昧な感情を捕らえて、サンプル化してみせるという行為は、小説や映画といったメディアが請け負う大きな役割だろう。この世界にはまだ発見されていない微生物がたくさんいるように、人間の内面に隠れ、見逃され続けてきた心の動きは少なくない。吉田浩太監督&脚本作『好きでもないくせに』は、好きになった異性とはエッチできず、好きでもない相手とついついセックスしてしまうという、理屈では割り切れない20代女性の揺れ動く感情にスポットライトを当てた官能ドラマとなっている。
『好きでもないくせに』の主演女優は、本作で女優デビューを果たす璃子。週刊誌「FLASH」(光文社)で“謎の聖女 璃子”としてセクシーグラビアを披露してきた彼女の実体験に着想を得て、吉田浩太監督が軽快なコメディに仕立てている。璃子いわく、「好きな人の前では緊張して、うまく自分の気持ちを伝えられない」「強く口説かれると断れなくなって」「お酒を呑んだ勢いで」、好きでもない男性とエッチした過去があるそうだ。恋愛感情と性的欲望は、必ずしもぴったり一致するわけではない。そんな2つの感情の狭間に本作の主人公たちはつまずき、右往左往することになる。
主人公は秋田から上京してきた売れないグラビアモデルの琴子(璃子)。芸能事務所に籍を置くものの、たまに舞い込む芸能活動では食べていけず、普段はキャバクラで働いていた。同じキャバクラでボーイをしている大学生の元気(川村亮介)に誘われ、珍しく璃子は合コンに参加。元気が通う大学の後輩で、モデルをやっている陸(根岸拓哉)のイケメンぶりに思わずひと目惚れしてしまう。でも、気になる異性ほど、意識しすぎて会話がうまく繋がらない。いまいち盛り上がれなかった合コンの後、琴子は自宅まで送ってくれた元気を追い返せず、流れに身を任せてエッチしてしまう。意中の琴子との初エッチに感激する元気とは裏腹に、琴子は流されやすい自分の性格に呆れるしかなかった。
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