被害総額3,500万円でも刑事処罰なし! 好奇心から放火に走る韓国・中学生たちと、少年法の“壁”
#韓国 #東アジアニュース
5月中旬、釜山のとある船舶エンジン部品工場で火災が発生した。工場近くの空き地に積み重ねられた木材などから火の手が上がり、工場へと飛び火。船舶エンジンなどの資材に燃え移り、総額3億5,000万ウォン(約3,500万円)の損害となった。
容疑者として逮捕されたのは、中学1年生の少年だった。警察の取り調べに対し、「好奇心から火をつけた」と供述しているという。
韓国では最近、中学生の犯罪が目につく。2月にも中学生の集団レイプ事件が起こっており、主犯格の男子生徒が懲役6年の実刑判決を受けた(参照記事)。また、オレオレ詐欺のように電話で詐欺を働く“ボイス・フィッシング”で、3人の中学生が警察に逮捕されたという報道があった。ただ、中学生による犯罪の中でも特徴的なのが放火だ。
韓国の警察が発表する「警察犯罪統計」によると、2014年に14歳が起こした放火は41件。15歳33件、16歳31件、17歳20件、18歳5件などと比べると、その差は歴然だろう。13年の同じ統計を見ても、14歳42件、15歳31件、16歳23件、17歳14件、18歳8件と、やはり14歳の中学生に“放火犯”が相対的に多いことがわかる。
実際、昨年5~8月にかけてソウルのマンションやアパートに6度火をつけた放火犯も、中学生4人のグループだった。その1カ月後には、別の中学生が自分の通う学校の教室に火をつける動画がネット上にアップされる事件もあった。同年3月には、13歳の中学生が遅刻を注意された腹いせに教師のオートバイを燃やしている。
11~14年に凶悪犯罪で逮捕された10代の青少年は、1万3,846人にも上る。1日に平均9件にも及ぶ凶悪犯罪を彼らが引き起こしているということになる。ただし警察関係者は「10代の凶悪犯罪が深刻な水準に達しているが、年々進行する低年齢化は、とりわけ大きな問題だ」と指摘している。
実際、10大凶悪犯罪のうち、法的に処罰されない年齢である“触法少年”(満10歳~14歳未満)による犯罪は、さらに深刻だ。
韓国における触法少年の凶悪犯罪は、11年363件から14年479件に増加。青少年犯罪における触法少年の犯罪割合も11年10.1%、12年11.7%、13年11.9%、14年15.4%と毎年少しずつ高まっている。15年こそ368件と若干縮小したが、まだまだ予断を許さない状況だ。
今回、釜山の工場に放火した少年も12歳であるため、刑事責任が問われない。韓国メディアによると、彼は今後、管轄の裁判所少年部に送致され、裁判所で審理後、必要があれば社会奉仕や少年院送致などの保護処分が下されるという。
好奇心や憂さ晴らしで、放火に走る韓国の中学生たち。彼らがどんな大人に成長するのか、心配でならない。
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