私物化っぷりはもはや伝説!? 競馬でやりたい放題のフジ
下らなすぎて記事にする気はなかったのだが、ファンの間ですでに「伝説」となるほど騒ぎになっているので、本項で触れようと思う。
「伝説」が起こったのは先月3月20日の中山競馬場。この日は皐月賞(G1)の優先出走権をかけたトライアル競走「フジテレビ賞 スプリングS(G2)」が開催された。勝利したのはマウントロブソンで2着がマイネルハニー。1番人気のロードクエストは3着に終わった。僅差の接戦という白熱したレースだった。そう、レースに関しては特に文句はない。
ファンの間で「伝説」となったのはこのスプリングSの「本馬場入場」である。地下馬道から出走馬たちがコースに登場し、スタート地点まで「返し馬」を行う。荘厳なクラシック調の音楽の中、グリーンチャンネルと提携するラジオNIKKEIの実況アナウンサーが各馬の紹介を行う。それが普通だ。
しかし、その日の本馬場入場は違った。出走馬のコース登場とともに流れてきたのは、なんとも「ポップ」な曲だった。その前の「中山競馬場、皐月に春呼ぶトライアル、フジテレビ賞スプリングS、本馬場入場です」という、普段あまり耳にしない「煽り」実況が入った時点で違和感はあったのだが……。
聞いてみると、メロディはどんどんリズミカルになって、ついには女の子たちの「歌声」までついてしまった。実はこの曲、アイドルグループ乃木坂46の曲「革命の馬」だったのだ。アイドルの、いかにもAKBグループらしい軽い音楽(しかも歌詞つき)が流れたので「何かの間違いじゃないか」と思うファンで競馬場とWINSがざわめいたらしい。
しかし、アイドルの曲が流れたのは決して間違いなどではない。フジテレビ系の競馬番組『うまズキッ!』に出演中の乃木坂46が、スプリングSの本馬場入場曲を選んだということだ。スプリングSのスポンサーは「フジテレビ賞」の名の通りフジテレビであり、その意向によるものということは理解できるのだが……。
ネットでは「ひでえ」「ダサすぎ」「こんな最悪な本馬場入場見たことない」「年に一度の消音タイム」「緊張感ゼロ」と最大級の非難であふれ返ってしまった。確かに、これから真剣勝負をする競走馬の入場とアイドルの曲が”シンクロ”するはずがなく、皐月賞出走をかけたピリピリムードが台無しである。ちなみにこの本馬場入場の音声は競馬場とWINS、フジ系の放送だけではなく、グリーンチャンネルでも流れており「フジ見たくないからグリーンチャンネル契約してるのに」という悲鳴も多くあったのだ。
入場開始前にはターフビジョンに乃木阪46が登場し、「革命の馬」について説明。「現代の若者について歌った歌で、3歳馬のレースにぴったり合うと思います」とコメント。「どこがだよ!」のツッコミがほしいとしか思えない。
ちなみに、入場の実況はフジテレビ社員で、「ポエム実況」で有名な塩原恒夫アナ(グリーンチャンネルも同じく)。「G1キャリアをふくむ4戦連続重賞の舞台。我こそはアドマイヤモラール 田辺裕信」「弥生賞から中1週でもう走ってるモウカッテルと、もう乗ってる藤田菜七子」など、やはりそのポエマーぶりを発揮。どうでもいいから、斤量と馬体重を語ってほしい。
スプリングSという大事な舞台、それも「社杯」を自ら台無しにするような行為をしたフジテレビ。ネット上では「いい加減放映権剥奪しろ」「もういろいろ病気だこの局」「ギャンブルを舐め腐っている」といまだに怒りが収まらない様子。完全同意である。
フジテレビは2010年にも、このスプリングSで「オリジナルファンファーレ」を披露し大ブーイングを受けた。SMAPの「青いイナズマ」などを作曲した林田健司氏を起用したが、ファンファーレ向きとはとても思えない曲調であった。余計なことをしなければいいのに、何も学んでいないようである。
「スポンサーだから何してもいい」などと短絡的な発想があるように思えてならない。フジ凋落の象徴を、また一つ確認したような気分である。
ちなみに「伝説」は表現が異なるように思った。「黒歴史」と訂正させていただく。
(文=ねある子)
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