“やりすぎ横暴演出”が愛しい『美味しんぼ』連載終了!? 一方「終われない」人気作の惨状は……
#本 #マンガ #小学館
人気料理マンガ『美味しんぼ』(小学館)の連載再開が決定し、それと同時に連載終了になることが明らかとなった。原作者の雁屋哲氏によれば、「今までの登場人物総出演で、美味しい食べ物の話でどんちゃんどんちゃん楽しく騒いで大団円。そう考えています」と最終回の構想を語っている。
「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で1983年の連載開始から30年以上、単行本は111巻を数える。連載中期以降は国際問題などにも料理を通して切り込み「左翼色が強い」という批判もあったが、ファンからすれば数ある名エピソードの思い出のほうが強いはずだ。
「トンカツ慕情」を筆頭に初期の人情話や市井の人々にスポットを当てた「神回」はもちろん、主人公である山岡士郎と父・海原雄山との「究極・至高の料理対決」、山岡とヒロインである栗田ゆう子の結婚までのエピソードなど、単純にマンガ作品としても評価が高かった同作。しかし、往年のファンからすればイチイチ大げさで「やりすぎ」な演出ネタこそが、このマンガの真骨頂という認識ではないだろうか。
特に山岡の父、海原雄山のぶっ飛んだエピソードは枚挙に暇がない。古きよき料理を愛する海原は、ハンバーガーなどファストフードが嫌いで「(ハンバーガーを食べて)手が汚れてしまった!」と激怒したり、評判のカレー店に行って「じゃあ本当のカレーとはなんだ」と店主に難癖をつけるなどやりたい放題。車が渋滞していると「馬鹿どもに車を与えるな」と八つ当たり。当代一の美食家で芸術家ではあるが、特に初期はかなり横暴な人物だった。最も有名なセリフは「このあらいを作ったのは誰だあっ!!」か。しかし、基本的に息子である山岡を厳しくも温かく見守るツンデレな面もある。
他にも、栗田ゆう子が美味しいヒラメを食べた時に出た名言「シャッキリポン」や、山岡が生きる気力をなくしたうつ病患者に「死ねよ」と突き放したり……(もちろん意図があって)。なんともやりすぎな演出が多く印象に残っている。
しかし連載25年目、長くあった「父と子の戦争」が終わり、山岡と海原が和解し休載になると、ファンの間でも「そろそろ終わりか」という声がささやかれ始めた。親子の意地の張り合いがこのマンガの根幹だっただけに、そう考えるのは極めて自然だ。
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