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日本経済の停滞が“危険なJKビジネス”を横行させた!? 衝撃の一冊『女子高生ビジネスの内幕』

jk0323『女子高生ビジネスの内幕』(宝島社)

 たびたびニュースに取り上げられる「JKビジネス」。相次ぐ摘発にもかかわらず、東京の繁華街では客を引く制服姿の女たちの姿が絶えることはない。とりわけ、秋葉原はそうしたビジネスの中心地として、幾たびもメディアに取り上げられている。

 メディアを通じて取り上げられる「JKビジネス」は、いわば売春の温床。昨年10月には来日した国連人権理事会の特別報告者・ブーア=ブキッキオ氏が「日本の女子学生の13%が援助交際をしている」と発言し、大きな論争を巻き起こした。

 しかし、何度メディアに取り上げられようとも、どういう人々が働き、利用しているのかという疑問は消えない。報道の大半は、最初からなんらかの結論ありきによって成り立っていて、余計に人々が実態を知ることを困難ならしめているのだ。

 井川楊枝『女子高生ビジネスの内幕』(宝島社)は、そうした「JKビジネス」に対する素朴な疑問にことごとく応えてくれる本格的なルポルタージュだ。

 当初、出版社の書誌情報に記された「知られざるJKビジネスの内幕をルポ」という言葉から感じたのは、覗き見趣味的にただれた世界を描いているのではないかというものだった。けれども井川氏はそこで働く女性たち、経営者、客にまで徹底的な取材を行った果てに「JK」に価値が見いだされる現代日本の赤裸々な姿をあぶり出していくのだ。

 この一冊を上梓するまでに至る取材は、2012年から4年あまりにも及ぶという。取材当日は、かつて井川氏とさまざまな映像作品で現場を共にした仕事仲間であり、拙著『コミックばかり読まないで』(イースト・プレス)の解説にて、私と井川氏の見えざる絆を鋭く考察した増田俊樹氏。また、私のアシスタントとして取材先に同行したマスコミ業界就職活動中の女子大生・内藤さんも女性の視点からインタビューに参戦。それぞれの視点から寡黙な著者の問題提起をえぐり出してみた。(文=ルポライター・昼間たかし/取材=増田俊樹)

■JKビジネスとAKB48の関係性

──丹念に取材されていますね。取材費はかなり使われたのでは?

井川楊枝(以下、井川) 2012年にたまたま秋葉原でビラ配りをする女子高生と出会って、それから興味を持ち、実話誌やらお宝系の雑誌、エロ系の雑誌とかに企画を出したら、軒並み企画が通ったんですよね。たぶん今まで20万円近くは払ってきたと思うんですけど、ほとんど編集部に経費を出してもらっているから、自分の懐はあんまり痛んでいません(笑)。それだけ「JK」というキーワードを入れると、雑誌の反響があったということなんでしょう。

──井川さんと私(増田)が、たびたび仕事で組んだグラビア系の雑誌や映像は、セクシー系がメインでした。JKなんか当時は全然注目されていなかったですよね。

井川 ええ。05年から09年ぐらいでしたっけ。ちょうど着エロブームの頃で、私たちはどちらかというと、そういうセクシー系の子たちと仕事で関わる機会が多かったんですよね。でもいつの間にかAKB旋風が巻き起こって、セクシー系グラドルが下火になった。今は、さまざまな地域でAKB48を模倣したご当地アイドル、萌え絵を使った町興しをやってて、エロより萌えになっちゃっていますよね。

──つまり、AKBのデビュー以降、時代がJKに変わったんですかね?

井川 そうですね。詳しい流れをいうと、まず02年くらいからメイド喫茶が誕生し始めたんですね。05年に「萌え」が流行語大賞を受賞。そんな萌えブームの上に、AKB48が誕生してメディアを席巻、そこにJKビジネスが生まれたわけで、全部つながっているんですよ。10年ぐらいからアイドル戦国時代っていわれるぐらい有象無象のアイドルが生まれましたけど、JKビジネスはそんなアイドルの成長曲線と一致しています。表の世界がアイドルなら、裏の世界がJKビジネスなわけです。メディアはJKビジネスばかり批判してるけど、両方の根っこにあるのは同じものですよ。

──そう言えば、井川さん、AKBみたいなアイドルをプロデュースしてませんでした?

井川 はい。これもJKビジネスを取材していくうちに、どうやら「今の世の中はJKだ!」ということがわかってきて、15年に、若い子らを集め、そのまんま学生服みたいな衣装を着たユニットを作ってみたんです。でも、私自身が全然、地下アイドルも好きじゃないし、若すぎる女の子と話すのは苦手だしっていうので、うまくいかなかったですね。両者は似通ってるけど、アイドルビジネスはJKビジネスよりも大変だし、儲からないこともわかりました(笑)。

──でもなんで、セクシーよりもAKBになっちゃったんでしょう?

井川 それだけ、今の男たちが草食化していて、リアルで重たいものを受け入れられなくなってるんじゃないでしょうか。90年代半ば以降も、JKの援交ブームがあったけど、そのときのJKってリアルな女の子だったと思うんですよ。当時はアムラーとかコギャルが流行ってましたよね。でも、今のJKビジネスの女の子たちって、「萌え」っていうパッケージに包まれてて、メイドさんのような2.5次元的な存在で、ある種の男の理想を具現化したようなものとして売られているんです。大人の女を相手にするのは疲れるけど、アニメのヒロインみたいな無垢な感じの子を相手にするのは癒される。別にこれはオタクだけに限った話じゃなくて、全国の刑務所でもAKB総選挙の話題で盛り上がっているらしいから、日本全国、総「萌え」化ですよ。

──そうリアルにおっしゃる井川さんはロリコンなんでしょうか?

井川 いえいえ(笑)。ただ、ここはよく勘違いされている方が多いんで言っておきますと、医学的に言えば、小児愛好家は13歳以下の少女に性欲を覚える人たちのことなんです。日本では女性の婚姻年齢が16歳からとなっていますし、JK店に通う客が医学的に問題のある人たちかというと、必ずしもそうではない。性的にノーマルな人だって、ひょっとしたらJKに惚れることだってあるかもしれない。でも、日本の法律は18歳未満が児童と定められていることもあり、社会的・法的な観点からいえば、JKとは一線を越えた関係を結んじゃいけないんです。取材していて驚いたのは、そういう法的なリスクを考えず、JKと一線越えようという客が多かったことですよね。それだけ日本が病んでいるという証拠だと思いますよ。

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