名作『セーラー服と機関銃』の後日譚を、“天使すぎるアイドル”橋本環奈が熱演!『セーラー服と機関銃 卒業』
#映画
今週取り上げる最新映画は、“天使すぎるアイドル”橋本環奈の初主演作と、リーマンショックを予見した型破りな金融マンたちの大逆転を描く骨太ドラマ。フィクションと実話ベースの違いはあれど、痛快なストーリーの裏に込めた社会風刺という共通項もある2作品だ。
『セーラー服と機関銃 卒業』(3月5日公開)は、薬師丸ひろ子主演で1982年邦画配収1位を記録した大ヒット映画『セーラー服と機関銃』の後日譚にあたる赤川次郎の小説を、橋本環奈主演で実写化した異色の青春エンターテインメント。かつて弱小組織・目高組の組長を務めた女子高生・泉(橋本)は、組を解散した後、元組員たちと地元商店街でカフェを開いていた。ある日、モデル志望の女性たちを狙った詐欺の話を聞き、泉たちは独自に調査を開始。ある暴力団がフロント企業を使い、市長候補や警察も抱き込んで街を乗っ取ろうとしていることを知った泉は、組を再結成し、街を守るために立ち上がる。
角川映画40周年記念作品となる本作。『婚前特急』(2011年)の前田弘二監督がメガホンを取り、長谷川博己、安藤政信、鶴見辰吾、武田鉄矢ら実力派が脇を固めた。アイドルやテレビタレントとして既に知名度抜群の橋本が、女優として飛躍的に成長していく様子が見てとれる。張り上げる際の発声が課題だが、同級生たちとのやり取りでは自然な演技が好ましく、今後も映画出演が続くことを大いに期待したい。
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(公開中)は、クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、ブラッド・ピットの豪華共演で、リーマンショックと呼ばれる世界金融危機を予見してウォール街を出し抜いた男たちの実話を描く社会派ドラマ。2005年のニューヨークで、金融トレーダーのマイケル(ベール)は、住宅ローンを含む金融商品「サブプライム・ローン」が債務不履行に陥る危険性に気づくが、その予測はウォール街や投資家から相手にされない。そこで、サブプライムが暴落したら巨額の保険金を得られる金融取引「CDS」に目をつけ、大金を投資する。同じ頃、若き銀行家ジャレド(ゴズリング)、ヘッジファンドマネージャーのマーク(カレル)、リタイアした銀行家ベン(ピット)も、それぞれサブプライム暴落の予測に賭けた大勝負を打つ。
原作は、『マネーボール』(11年)の原作も手がけたマイケル・ルイスによるノンフィクション。監督は、コメディー『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』(10年)でも現代の資本主義を風刺したアダム・マッケイ。共同で脚本を担当したチャールズ・ランドルフとともに、今年のアカデミー賞脚色賞を受賞した。ヘビメタ好きの変人トレーダーに扮(ふん)したクリスチャン・ベールもいいが、『フォックスキャッチャー』(14年)に続いてコミカルな演技を封印したスティーブ・カレルの熱演が格別。鮮やかな逆転劇を描く一方で、でたらめな住宅バブルに踊らされた庶民を思いやるスタンスが、ほろ苦い後味を残す力作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『セーラー服と機関銃 卒業』作品情報
<http://eiga.com/movie/82366/>
『マネー・ショート 華麗なる大逆転』作品情報
<http://eiga.com/movie/83256/>
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事