地上411メートルのスリルを3Dで再現! 名監督が描く“伝説の男”の素顔とは『ザ・ウォーク』
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今週取り上げる最新映画は、超高層ビル間の綱渡りを体感する3D超大作と、ヘタレな若者が凄腕エージェントに覚醒するコミカルな快作。2作品のタイプは異なるが、映画らしい刺激と驚きに満ちた充実作だ(いずれも1月23日公開)。
『ザ・ウォーク』(2D/3D上映)は、『フォレスト・ガンプ 一期一会』(1994)の巨匠ロバート・ゼメキス監督が、米国の超高層ツインタワーの間を綱渡りしたフランス人大道芸人の実話をスリリングに描くドラマ。幼いころ綱渡りに魅了され、独学で技術を体得したあとサーカスで修業したプティ(ジョセフ・ゴードン=レビット)は、パリの大通りで芸を披露して日銭を稼いでいた。ある日、世界一の高さとなる米ニューヨークのワールドトレードセンターが完成間際だと知り、ツインタワーの間にワイヤーを張って歩くことを決意。協力する仲間たちを集め、現地入りして準備を整え、1974年8月7日を決行の日に定める。
出世作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)から一貫して視覚効果の可能性を切り開いてきたゼメキス監督が、本作では9・11テロで失われたWTCのツインタワーをCGで存在感たっぷりに再現。さらに『ポーラー・エクスプレス』(04)以降挑戦を重ねてきた3D映像で、地上から411メートルのビル間に張られたワイヤー上から見下ろす光景などを疑似体験させてくれる。準備段階のクライムサスペンス的な緊迫感と、仲間たちによるチームプレイの妙味も、丁寧に描かれていて楽しめる。
『エージェント・ウルトラ』(R15+指定)は、『ソーシャル・ネットワーク』(10)のジェシー・アイゼンバーグと『トワイライト』(08)のクリステン・スチュワートが共演したアクションラブコメディー。コンビニ店員のマイクは、恋人フィービーとハワイ旅行を計画するが、パニック障害で空港から引き返し、マリファナを吸って気を取り直すようなダメ男。だがある晩、バイト先で女性客が口にした言葉により封印されていた能力が覚醒し、駐車場にいた暴漢2人をスプーン1本で倒してしまう。動揺するマイクは、実はCIAの極秘計画で訓練され生き残った凄腕エージェントだった。マイクはフィービーを連れて、CIAが計画を闇に葬るため派遣した暗殺部隊から必死に逃げようとするが……。
マリファナ常習のヘタレ男と最強のエージェント、ギャップが際立つ主人公をアイゼンバーグが巧みに演じ分けた。スチュワートも、秘密を抱えた恋人役を好演。監督は、PVとCMでキャリアを築いた新鋭のニマ・ヌリザデ。CIAが極秘裏にマインドコントロールを実験していたとされる「MKウルトラ計画」に着想を得た点では、マット・デイモン主演の『ボーン』シリーズと共通するが、本作は青春コメディーの側面も持つところがユニーク。デンゼル・ワシントン主演『イコライザー』(14)の日用品で敵を殺傷するアイデア、英国発スパイアクション『キングスマン』(14)の過激なバイオレンス描写など、近年の同ジャンルの傑作を彷彿とさせる要素も盛り沢山の痛快娯楽作だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『ザ・ウォーク』作品情報
<http://eiga.com/movie/80755/>
『エージェント・ウルトラ』作品情報
<http://eiga.com/movie/80332/>
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