トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ  > 森川葵はただの“個性派女優”ではない 『いつかこの恋を〜』で期待される役者としての地力

森川葵はただの“個性派女優”ではない 『いつかこの恋を〜』で期待される役者としての地力

【リアルサウンドより】

 森川葵といえば、風間志織監督の『チョコリエッタ』では、進路調査に「犬になりたい」と書いた宮永知世子役で丸坊主姿を披露し、加藤綾佳監督の『おんなのこきらい』では、自らをカワイイと公言して憚らないキリコ役を務めるなど、個性的で強烈なキャラクターをたくさん演じてきたイメージがある。

 しかし、去年11月に公開された映画『通学シリーズ 通学途中』では、そうしたイメージとは異なる姿を披露してくれた。この映画で森川は、内気な性格の高校生ユキ役を演じていて、恋に不器用で、人に自分の気持ちを上手く伝えられないというユキのキャラクターを上手く表現していた。正直、これまで森川が演じてきた役と比べれば、強烈なインパクトがあるわけではない。だが、そんなインパクトに頼らずとも、ひとつひとつの表情や仕草で感情の機微を表現しきっていた姿は、とても印象的だった。

 また、去年フジテレビにて放送されたドラマ『テディ・ゴー!』での山瀬和子役も良かった。物語は、フリーターの山瀬和子が、刑事だった天野康雄の魂が宿ったクマの編みぐるみと共に、天野が生前に捜査していた事件の解決に挑むというもの。このドラマで森川は、酔っぱらいすぎてリバースしてしまったり、バイト中にむしゃくしゃして着ぐるみに八つ当たりするなど、コメディエンヌとしての可能性も感じさせる姿を披露した。振りきれたところと平凡なところを織り交ぜたような演技も新鮮だった。

 これまでの森川は、振りきれた個性的な役を演じられるところで“実力派”と言われてきたように思う。しかし、このような一面ばかりがフィーチャーされることで、森川が元来持つ演技力そのものになかなか注目がいかないことに、筆者はもどかしさを感じていた。もちろん、他の役者なら躊躇してしまうであろう個性的な役を演じきれるのは魅力のひとつだ。とはいえ、振りきれた役柄だけでなく、どこにでもいそうなリアリティのある役柄を演じられるのも、森川の大きな武器だろう。森川は、キャラクターの個性に頼ることなく、役柄の設定をしっかり読みとり表現するという、役者としての基礎体力でも勝負できるのだ。

12
ページ上部へ戻る

配給映画