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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.348

人生を変えてしまう快心のエッチがここにある!? 黒川芽以主演コメディ『愛を語れば変態ですか』

aiwokatareba01こんな美女が作るカレーなら、毎日でも通いたい。『庖丁人味平』のブラックカレーに匹敵する病み付きになる味に違いない。

 人は誰かを愛するとき、その人は変態になる。愛を知った人は、常識や世間体という拘束着を脱ぎ捨て、すっぽんぽんの変態となる。社会生活を営む頭でっかちな人間から、本能まるだしな野生動物へと変態を遂げる。野生の力を取り戻した変態は、拘束着を脱ぐことができない人間よりも圧倒的に魅力的だ。黒川芽以主演のコメディ映画『愛を語れば変態ですか』は、平凡な人妻あさこが自分は変態であることを受け入れ、無敵の存在へと覚醒していく姿を描く。CGなどを使うことなく黒川芽以は、怪作『LUCY/ルーシー』(14)のスカーレット・ヨハンソンばりに変身することになる。

 黒川芽以は、宮崎あおい、堀北真希、夏帆らを輩出した深夜ドラマ『ケータイ刑事 銭形』シリーズで3代目・銭形泪を演じるなど、ルックスと演技力を兼ねそろえた若手女優として早くから注目された存在だった。『グミ・チョコレート・パイン』(07)と『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(10)では、主人公の運命を左右するファムファタールを熱演している。『横道世之介』(13)や『福福荘の福ちゃん』(14)での助演ぶりもよかったが、やはり主演女優としてスポットライトを浴びることで輝きが増すタイプのようだ。ふだんは清楚な人妻ながら、とんでもない素顔を持ち合わせるという二面性のあるキャラクターを楽しげに演じている。

 本作の舞台は住宅街にある一軒のカレー屋。明日の開業を控え、あさこ(黒川芽以)と店長である夫(野間口徹)は準備で忙しい。夫が以前勤めていた職場の後輩・ボン(川合正悟)が手伝いにきているが、この男はまるで役に立たない。そんなボンに対しても、あさこはニコニコと明るい笑顔で接する。誰に対しても優しく振る舞う性格らしい。チャツネのような甘ったるさが漂うカレー屋に、おかしな男たちが次々と現われる。アルバイトの面接を受けにきただけなのに、店を仕切ろうとするフリーター(今野浩喜)、カレー屋の開店祝いにレトルトカレーを持参する空気がまるで読めない若者(栩原楽人)、血まみれ姿で大金入りのカバンを手にした不動産屋(永島敏行)。みんな、店長がどんなカレー屋を開こうとしているかには興味がない。厨房に篭っていても、その妖艶さを隠し切れない人妻あさこに男たちは夢中だった。

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