すべてのアメコミヒーローはこの4人から始まった! 今週末公開『ファンタスティック・フォー』
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今週取り上げる最新映画は、チームで戦うアメコミヒーロー物の原点とも言うべき作品のリブート作と、女子大生アカペラチームの騒動と活躍を描くミュージカルコメディの続編。ジャンルは違えど、仲間がそれぞれの個性を活かし、協力して事を成し遂げる姿に元気をもらえる快作たちだ(いずれも公開中)。
『ファンタスティック・フォー』は、スーパーヒーロー・チームの設定を最初に導入した伝説的アメリカンコミックの再映画化作品。発明オタクの学生リードは、物質転送装置を科学コンテストに出展したところ、ある財団の研究員としてスカウトされる。リードは研究所で本格的な装置を完成させ、4人の仲間とともに異次元惑星プラネット・ゼロへの転送旅行を成功させるが、未知のパワーの影響で特殊能力を身につけてしまう。体がゴムのように伸び縮みするリード、体を透明化するスー、炎に包まれ飛行能力も持つジョニー、岩石の体と怪力を備えたベンが、自分の変化に戸惑いながらも能力と向き合い始めた頃、プラネット・ゼロに1人残され強大なパワーを獲得したビクターが、地球全体を滅亡の危機に陥れる。
リード役に『セッション』(2014)のマイルズ・テラー、スー役にケイト・マーラ(妹はルーニー・マーラ)など、主要キャストに新進の若手俳優を揃えたが、05年と07年に公開された前シリーズのジェシカ・アルバやクリス・エバンスらと比べるとやや地味な顔ぶれ。主人公の能力が伸び縮みする体という点がそもそも微妙だとはいえ、メンバー4人が各自の持ち味を活かし、協力して敵と戦うスリリングなアクション場面が本作の魅力だ。2017年に続編の公開が決まっており、アメコミ界屈指の人気キャラ、シルバーサーファーの登場が望まれる。
『ピッチ・パーフェクト2』は、日本では今年5月に公開された青春アカペラミュージカル『ピッチ・パーフェクト』の続編。全米アカペラ大会での優勝から3年後、女性アカペラチーム「バーデン・ベラーズ」は、大統領一家の前で歌うステージで大失態を犯し、すべての国内大会で出場禁止処分を受けてしまう。世界大会で優勝すれば処分取り消しの条件を取り付けるが、欧州チャンピオンのドイツチーム「ダス・サウンド・マシーン」の圧倒的なパフォーマンスを目の当たりにして、ベラーズは方向性を見失ってしまう。仲間に内緒でインターンを始めたベッカ(アナ・ケンドリック)、恋愛に悩む“ファット”エイミー(レベル・ウィルソン)、オリジナル曲を歌いたい新入生エミリー(ヘイリー・スタインフェルド)ら、メンバーの心もバラバラでチーム内に不協和音が漂い始めた頃、ピンチを打開すべく合宿を実施する。
米国でオープニング興収1位、ミュージカル映画としては『レ・ミゼラブル』(12)、『マンマ・ミーア!』(08)を超え、さらに世界各国でメガヒット中の本作。ストーリー上の都合から同じ曲が繰り返し歌われた前作に比べ、楽曲とパフォーマンスのバラエティーが格段に増し、往年の名曲から最近のヒットナンバーまでアカペラアレンジとマッシュアップで楽しく聴かせてくれる。『トゥルー・グリット』(10)で14歳にしてアカデミー助演女優賞にノミネートされたヘイリー・スタインフェルドが、大人びた姿で続投組のキャストとハーモニーを響かせる場面も見どころだ。字幕で訳詞がつかない曲が多いのが難点で、欲を言えば曲名とオリジナルの歌手名も添えてほしいところ。「ジョン・メイヤーと寝た女性歌手の曲」というネタなどは、付加情報があれば一層笑えるはずだ。こちらも17年に第3作の公開が決まっているので、次作の字幕では改善されることを期待したい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『ファンタスティック・フォー』作品情報
<http://eiga.com/movie/81624/>
『ピッチ・パーフェクト2』作品情報
<http://eiga.com/movie/81900/>
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