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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム >  パンドラ映画館  > 男の情熱が迸る『最後の1本』
深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.336

熱闘! 殿堂入りを目指す男たちの情熱がほとばしる『最後の1本 ペニス博物館の珍コレクション』

saigonoippon01wbアイスランドの隠れ人気スポット「ペニス博物館」のシッギ館長。自分が生きている間にペニスコレクションを完成させることに意欲を燃やす。

 オスのヘラジカにとって巨大な角は“男性のシンボル”そのものだ。発情期を迎えたオスのヘラジカたちはお互いの角を激しくぶつけ合って、自分の存在をアピールする。ドキュメンタリー映画『最後の1本 ペニス博物館の珍コレクション』を観て、ヘラジカのことを思い浮かべたのと同時に、人間もまた自然界で生きる動物であることを思い知らされた。それほどまでに本作に登場する男たちは自慢のペニスとペニスで激しいツバ競り合いを演じるのだ。

 本作の主舞台となるのはアイスランドにある「ペニス博物館」。そして中心人物となるのはこの珍博物館の館長シグルズル・“シッギ”・ヒャールタルソン。中学校の校長を務める傍ら、友人から冗談で牛のペニスの骨をプレゼントされたのがきっかけで、哺乳類のペニスをコレクションしてきた。家の中がペニスの標本だらけになるのを嫌がった妻からの要望もあり、1997年に世界唯一の「ペニス博物館」がオープンする。来場者を圧倒するマッコウクジラの巨大ペニスのホルマリン漬けから、確認するのにルーペが必要なハムスターの極小ペニスの骨など、シッギ館長が個人的に集めた大小さまざまなペニスの標本とペニスに関する美術品が陳列されている。極北の島国で生きる男の尋常ならざる情熱を感じさせるではないか。

 もうすぐ70歳を迎えるシッギ館長には憂いていることがあった。館内にはあらゆる種類の哺乳類のペニスをそろっているが、まだひとつだけ展示できずにいる動物がいる。そう、人間である。臓器移植と同じで、人間のペニスは法的な手続きを経たドナー(提供者)の同意書がないと手に入れることができないのだ。シッギ館長の熱い想いに応えるべく、2人の男が勃ち上がった。

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