冤罪で11年間投獄され、国から1,300万円の賠償金を得た男が5年で一文無しになったワケ
#中国 #東アジアニュース
無実の罪で11年間も獄中にいた男が、出所してわずか5年で国から支払われた賠償金を使い果たし、ホームレスになりかけていると中国メディアで話題になっている。「中華網」ほかが伝えた。
趙作海さんは、河南省の小さな村の農民だった。1998年のある日、かねてより趙さんと不仲で、ケンカが絶えなかった男が失踪。しばらくすると、首と膝から下がない、激しく腐乱した遺体が村の井戸から発見された。趙さんは容疑者として捕らえられ、2002年10月に故意殺人罪で投獄された。同年12月には執行猶予2年付きの死刑が確定、翌年3月に刑が確定した。
しかし10年4月、被害者とされていた、死んだはずの男が、なんとひょっこりと村に現れた。この男いわく、趙さんとケンカして頭を切りつけ、自分が趙さんを殺してしまったかもしれないと思い、逃亡したという。男の帰省により、趙さんは無罪となった。こうして無実の罪で11年もの間、獄中生活を余儀なくされた趙さんは国に賠償金請求し、翌5月に賠償金および生活補助として65万元(約1,300万円)を得た(記事参照)。
中国の農民にとって大金である65万元が、なぜわずか5年間でなくなってしまったのか?
出所から2カ月後、趙さんの息子が結婚することになり、その準備で6万元(約120万円)を使った。さらに息子は、趙さんの口座からこっそり14万元(約280万円)を盗んでいた。その後、夫婦で小さな旅行会社を経営するも、8カ月で倒産。4万元(約80万円)の損失となる。次にマルチ商法にハマり、17.5万元(約350万円)をだまし取られる。そして、妻のポケットマネー10万元(約200万円)と合わせて、夫婦で40万元(約800万円)を地元の企業に投資。毎月2%の利益を得るはずだったが、責任者が失踪……。
最後の投資について、趙さんは「もう60歳だし、自分で働けないから、利子で食べていけるようにしようと思った。1年間の期限付きの投資だったし、毎月入金予定日の1~2日早く入金してくれていたのに……」と語る。さらに不運なことに、趙さんは投資回収の取り立てに行った際、人とぶつかり、ケガを負った。一文無しとなり、入院費も払えないので、自宅療養をしているという。
趙はマルチ商法の詐欺に遭った後、裁判所から地域清掃の仕事をあてがわれていた。月給1,000元(約2万円)にしかならない仕事だったが、労働で収入を得る喜びをひしひしと感じていた。しかしながら、道路事情の変化により通勤が遠回りとなり、そのために早朝から家を出なければならなくなり、ウンザリして辞めてしまった。その後は、それまで以上に投資生活をもくろんだが、完全に失敗した。
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