米国はこうして失業率、犯罪発生率を激減させた! 法律が認めた人間が持つ凶暴性の解放『パージ』
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失業率と犯罪発生率をいっきに減少させ、国民の労働意欲を飛躍的に向上させる画期的な法案が米国で可決された。その法律は「パージ法」と呼ばれるもので、国民一人ひとりの精神を安定させ、そして社会全体を浄化(purge)させる効果があると賞讃されている。では、そのパージ法とはいかなるものか? 1年に1日だけ「パージ・デイ」が決められ、その日は夜7時から翌朝7時まで全ての犯罪は合法となる。器物破損、傷害、窃盗、放火、強姦、殺人などあらゆる犯罪が一夜限り許されるのだ。ただし、パージ・デイの12時間は警察、消防、医療などの救急サービスは全て停止。自分の身は自分で守らなくはならない。パージ法が施行され、米国民は日頃溜め込んでいたストレスを存分に吐き出すようになる。そして、米国はかつての開拓時代のような活気を取り戻すことに成功した―。もしも、そんな法律が本当に施行されたら……という近未来の米国社会を描いたのがイーサン・ホーク主演の異色サスペンス『パージ』だ。
1994年に出版された中島らものホラー連作集『白いメリーさん』(講談社)の中に『日の出通り商店街 いきいきデー』なる短編小説が収録されている。どこにでもある平凡な「日の出通り商店街」では年に一度のビッグイベント「いきいきデー」が催され、商店街の住人たちはこの日は自由に殺し合っていいことになっている。中華料理店、酒屋、電気店、天ぷら屋の店主たちは普段感じているご近所への不満をそれぞれの職能を活かしてぶつけ合うという血みどろのお祭りだ。参加者の中には「いつも人の命を救ってきたので、たまには殺してみたくなった」と劇薬入りの注射器を手にした老医者もいる。人間の中に潜む破壊衝動や凶暴性の解放は、作家にとっての大きなテーマのひとつなのだろう。『あまちゃん』を大ヒットさせた脚本家・宮藤官九郎と三池崇史監督のタッグ作『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』(10)では、朝と夕方の各5分間だけ警官や議員などの権力者はあらゆる犯罪が許される「ゼブラタイム」が与えられていた。日本発のこのゼブラタイムは「犯罪減少に繋がる」と米国の幾つかの州では導入が検討されていたことになっていたので、権力者だけでなく米国民なら誰もが平等に参加できるように改良されたものが「パージ法」のようである。
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