ツッコミどころ満載の愛すべき“怪書”150冊が集結!『ヘンな本大全』
#本
珍書プロデューサーとして注目を集めるハマザキカク氏が、新刊『ヘンな本大全』 (洋泉社MOOK)を発表した。珍書やヘンな本とは、「一体誰が読むのか?」「なぜこんなテーマで1冊に?」と、ツッコミどころ満載ながら、本に携わった人たちは大マジメで作ったのであろう、愛すべき怪書たちのこと。著者のハマザキカク氏は、年間約8万冊も出版される新刊をすべてチェックし、それを日々、Twitterで珍書速報として流し、「本の雑誌」でも珍書の新刊を紹介。昨年には、自らが独断と偏見で1人で選ぶ「珍書大賞」を創設し、約20もの各ジャンルごとに与えた受賞作を紹介する「珍書フェア」が、神保町の「書泉グランデ」や秋葉原の「書泉ブックタワー」で開催されるなど、その勢いは止まらない。
本書では、そんなハマザキカク氏が選んだ、珍書大賞受賞作品の紹介と受賞理由から始まり、食べられる帯や生米とスパイス入りの缶に入った本など「ヘンな装丁」20冊の紹介へと続く。そして、今回メインとなっているのが、それぞれの分野で秀でた専門家約20名が推薦する、“ヘンな本”=珍書ガイドである。
『死ぬかと思った』(アスペクト)シリーズで有名な林雄司氏は「ヘンなビジネス書」、当サイトでもおなじみの北村ヂン氏は「ヘンな性愛本」、『へんないきもの』シリーズが大ヒットした早川いくを氏は「ヘンな生き物本」、辺境地や未確認生物に強いノンフィクション作家・高野秀行氏は「ヘンな旅本」、プロインタビューアーの吉田豪氏は「ヘンなタレント本」と「ヘンなアイドル本」、辛酸なめ子氏は「ヘンなセレブ本」などなど、絶対面白い本選んでくれるでしょ! という期待感のある人が登場し、1テーマ5冊程度ずつ紹介している。
どれもこれも、かなり興味をそそる本ばかりが紹介されているのだが、個人的に気になったのは、林氏が最初はちょっとバカにして買ったものの、ドはまりしたという『松岡修造の人生を強く生きる83の言葉』(アスコム)。「崖っぷちありがとう! 最高だ!」「勘違いを特技にするんだ」など、なんとなく意味がわかる前向きな言葉のほか、「上海見てみろ。上海になってみろ!」「今日からおまえは富士山だ!」など、人智を超えた名言まで飛び出す。意味としては、「日々変わる上海のように自分もなってみよう」「僕らしさを取り戻すには富士山が最も近い存在でした。(中略)はっきりした理由はありません」とのことのようで、林氏いわく「意味がわからないのに読んだ人を前向きな気持ちにさせるという目的は達成しているわけで、言葉というよりも歌みたいなものなんじゃないかと思うのだ」(本文より)ということ。机にあるだけで、前向きになれそうだし、なんかやけどしそうだ。
続いて、神保町で特殊古書店「マニタ書房」を経営する、とみさわ昭仁氏の「ヘンな成り上がり本」セレクトで、『ガブガブいっちゃえ!』(三天書房)。個人的にはあまり記憶がないのだが、「カブガブいっちゃうよ~」で一世を風靡した、ホスト王・零士氏のモテマニュアル本で、出版された2000年はバブルはもう終わってるハズなのに、圧倒的なバブル感が素晴らしい。いったい彼からどんなモテマニュアルが学べるのか、現代に合うのか、大変気になるところだ。それから、「たき火の会」主宰のお酒大好き・石原たきび氏が選ぶ、「ヘンな酒本」がテーマの『こどものためのお酒入門』(イースト・プレス)。子どもに酒の魅力を伝えるという、なかなかの無茶な内容で、しかも、子ども向けだからといって、お酒というテーマに一切妥協はナシ。帯に書かれた「未成年でも大丈夫!」の大丈夫ではない感が、ハンパじゃない。
このほかにも、サイゾー読者がどっぷりハマりそうな本が続々と登場。その道のプロが選んだ本だけでも100冊以上、それ以外にもハマザキカク氏が選んだ数々の珍書が珍書大賞受賞作を含め、約50冊も登場しているので、アナタにぴったりの一冊どころか、困っちゃうぐらい何冊も見つかるはず。面白い本が見つからない、と嘆いているアナタはぜひ参考にしてほしい。
(文=上浦未来)
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