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歴代動員ランキング2位! 韓国版『ALWAYS三丁目の夕日』大ヒットで韓国人の愛国心がますます増幅中!?

1118238_650.jpg(C)2014CJE&MCorporation,AllRightsReserved.

 昨年12月に公開された映画『国際市場で逢いましょう』が観客動員数1,335万人を突破(2月16日現在)し、韓国歴代動員ランキング第2位の『アバター』を抜いた。


 監督は2009年に1,000万人動員で同年の国内最大ヒットとなった『TSUNAMI』のユン・ジェギュン。5年ぶりの新作に、『新しき世界』のファン・ジョンミン、『シュリ』のキム・ユンジンなど豪華なキャスト陣が花を添え、日本で大人気の東方神起ユンホも特別出演して銀幕デビューを飾った。

 『国際市場で逢いましょう』は、1950年に開戦した朝鮮戦争の激動と混乱の中で、避難民が釜山で形成した国際市場を舞台に、家族のために生涯を捧げた父親の物語だ。主人公ドクスは、内戦中に父、妹と離れ離れになったトラウマを抱えている。残された家族の大黒柱として、西ドイツへの出稼ぎやベトナム戦争従事など危険な仕事にも進んで身を投じていくが……。

 ちなみに、同作で描かれた西ドイツの炭鉱や戦時下のベトナムへの出稼ぎは実話だ。1960~70年代、失業率が高く、外貨不足に苦しんでいた韓国は、国策として労働者を送り出していた。ベトナム戦争に韓国が派兵したことは有名だが、軍人だけでなく、多くの民間人も派遣されていたことはあまり知られていないかもしれない。

 トレーラーやポスターなどのパブリシティ素材を見る限り、本作は韓国版『ALWAYS三丁目の夕日』といったところだ。記録的大ヒットの要因は、“普通の男”の生きざまを通して、韓国という国の“生い立ち”を描いたからだろう。『ALWAYS~』は高度成長期に的を絞りノスタルジックなアプローチを試みたが、そこは韓国。歴史も感性も異なる近代史的な描写がふんだんに盛り込まれている。

「親世代への感謝の言葉を伝える映画。最も平凡な父親の、最も偉大な物語を描きたかった」と監督も言うように、本作は国づくりに献身した先代への讃美歌であり鎮魂歌でもある。韓国人にとっては、いま自分たちの住む豊かな国が、誰の、どんな苦労のもとに作られたかを学ぶ“教科書的映画”となった。“笑いあり涙ありの人情物語”が近代史と寄り添い、他国の観客には感じ得ないナショナリズム的カタルシスを生んだ結果、堂々の歴代2位を記録したと考えられる。

 昨年夏に公開され1,700万人動員で歴代トップの『鳴梁(ミョンリャン)』は、韓国の歴史的英雄・李舜臣将軍が日本軍を撃退する話であった。ジャンルは異なるが、この2作が観客の愛国心を刺激したという共通点は見逃せないだろう。

 抗日的な要素の強い『鳴梁』は日本の観客には薦めづらいが、『国際市場で逢いましょう』は“ALWAYS的テイスト”で親しみやすさがある。日本で“三丁目の人々”が懸命に生きていた頃、隣国ではどんな夕日を見ていたのか。

 日本では5月16日に公開が決まったが、日本を含めた国際市場は、韓国の“国民的映画”をどう評価するだろうか?
(取材・文=梅田ナリフミ)

最終更新:2015/02/23 18:25
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