「そんな“うっかり”ありえるの!?」窃盗容疑の競泳・冨田選手“通訳なし裁判” 韓国裁判所に聞いてみた
#韓国 #東アジアニュース #河鐘基
仁川アジア大会で、韓国人写真記者のカメラを盗んだとして略式起訴された競泳の冨田尚哉選手。日本帰国後に容疑を否認し、韓国側に対してあらためて正式な裁判を求めていたが、その2回目の公判が2月2日に韓国・仁川地方法院で行われた。
1回目の公判に引き続き、今回も日韓両国のメディアが注目する裁判となったが、思わぬハプニングが起きた。裁判所が用意し、冨田選手の言葉を伝えるはずの通訳人が来なかったのだ。理由はなんと、“公判日の錯覚”。日にちを間違え、同席できなかったという。
第一報を伝えた共同通信の記事は「弁護人の黄文錫弁護士が、自分が通訳も兼ねるとして審理の続行に同意したが、証拠採用をめぐる同弁護士と検察との応酬や裁判官による訴訟指揮の説明は廷内で冨田選手に伝えられず、被告人の権利保護が十分だったか疑問だ」とし、韓国裁判所側の対応を批判した。
果たして、そんな“うっかり”がありえるのか? 韓国では、同裁判に通訳人が出席しなかったという報道は皆無だった。そこで、仁川地方法院の広報担当者に直接問い合わせてみた。
「その報道に間違いはありません。通訳人は日時を勘違いし、同席しませんでした」
共同通信の報じた内容は正しかったわけだが、少し気になる点が残る。韓国で外国人の裁判が行われる場合、通訳人が来ないというようなことが頻繁にあるのだろうか? 正直に疑問をぶつけてみると、次のような回答が返ってきた。
「いえいえ、そんなことは決してありません。今回は本当に珍しいトラブルでして……。報じられているように、弁護人の方が通訳されたのも事実です」
広報担当者の口ぶりから悪意や面倒くささは感じなかったし、返答も誠実そのものだった。めったにないトラブルが、冨田選手の今回の裁判に限って、たまたま起きてしまったというのが真相のようだ。
ちなみに、日韓で通訳の仕事に長らく携わってきたA氏は、「法律用語などの同時通訳は簡単ではないし、高度な技術が必要」と話す。しかも「法廷で議論しながら弁護をしていれば、判事や裁判官の言葉を一語一句、被告人に通訳するのは、かなり難しいのでは?」と、若干、弁護士に同情の余地を見せた。
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