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『ベイマックス』日本文化へのリスペクトに涙──2015年は、お正月映画が熱い!!

baymax_2015.jpg(C) 2014 Disney. All Rights Reserved./配給: ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン

 2015年お正月映画を特集する今回は、幅広い世代が楽しめる多彩な魅力の話題作から、小粒ながらも強烈なインパクトを放つ力作まで、個性的な4作品を紹介していきたい(いずれも公開中)。

 『ベイマックス』(2D/3D上映)は、ディズニー映画史上最も強く日本文化への敬愛が表現された長編アニメ。サンフランソウキョウに暮らす14歳の天才少年ヒロは、火災で命を落とした兄が遺したケアロボット「ベイマックス」に支えられ、失意から回復する。兄の死にかかわる陰謀を知ったヒロは、ベイマックスに戦闘用の装備とプログラミングを加え、兄の研究仲間と共に巨悪に立ち向かうが――。大きくてフワフワなベイマックスと日系人を思わせる主人公の関係が『となりのトトロ』(1988年)を参照していることをはじめ、日本のポップカルチャーへの言及、サンフランシスコと東京をミックスしたような未来都市など、日本人が見たら嬉しくなる要素が盛り沢山だ。

 『バンクーバーの朝日』は、第2次世界大戦前のカナダで活躍した日系移民の野球チームの実話を、石井裕也監督が『ぼくたちの家族』(14年)に続いて、妻夫木聡主演で映画化した感動作。20世紀初頭、カナダへ渡った多くの日本人が過酷な労働や差別に苦しむ頃、日本人街に野球チーム「バンクーバー朝日」が誕生した。当初は体格で上回る白人チーム相手に負け続けるが、バントと盗塁を多用する頭脳的な作戦とフェアプレーで勝利を重ねるように。チームは日系移民たちに希望をもたらし、白人社会からも評価されるが――。米メジャーリーグでのイチローの活躍を、半世紀以上前にカナダの野球界で先取りしていたような、実話ベースのストーリーが興味深い。亀梨和也、池松壮亮、宮崎あおい、佐藤浩市ほか共演陣も豪華。撮影のために野球場、日本人街、白人街のセットを建設したというスケールの大きさも、映像から確かに伝わってくる。

 『バッド・マイロ!』(R15+指定)は、潔いほどにB級テイストを追求したホラーコメディながら、モンスターの愛らしいルックスと、感動的な絆の物語にハマる人続出の異色作。嫌味な上司に配置換えされ、同僚らにリストラを言い渡す担当になったダンカンは、ストレスから猛烈な腹痛に何度も襲われ、そのたびに気を失ってしまう。時を同じくして、身近な人が惨殺される事件が相次ぐ。ほどなくダンカンは、自分の腸にできた腫瘍がモンスター「マイロ」となって体外に飛び出し、ストレス原因の相手を殺していたことを知る――。『E.T.』(82年)のエイリアンに似た外見につぶらな瞳がキュートなマイロと、主人公が親子のように心を通わせてゆく展開がバカバカしくも泣かせる。

 『百円の恋』(R15+指定)は、『イン・ザ・ヒーロー』(14年)の武正晴監督、『かぞくのくに』(12年)の安藤サクラ主演でアラサー女性の自立と成長を描く意欲作。実家に引きこもり自堕落な生活を送っていた32歳の一子は、子連れで出戻ってきた妹と大げんかして、アパートで一人暮らしを始める。100円ショップで深夜勤務の職を得た一子は、近所のボクシングジムに通う中年ボクサー・狩野と出会い、恋をするが――。タイトルから予想される通り、底辺で暮らす女性のささやかな恋愛が進行する前半から一転、後半はスポ根ドラマのような展開に。脚本のシフトチェンジに伴い、みるみる変貌する安藤サクラの演技が圧巻だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

「ベイマックス」
<http://eiga.com/movie/80460/>

「バンクーバーの朝日」
<http://eiga.com/movie/79991/>

「バッド・マイロ!」
<http://eiga.com/movie/81279/>

「百円の恋」
<http://eiga.com/movie/80512/>

最終更新:2015/01/03 18:00
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