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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 幻の反日マンガ『テコンダー朴』
じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

反日マンガの仮面をかぶった壮大な釣り!? 日本で唯一のテコンドーマンガ『テコンダー朴』

tejibdar.jpg『テコンダー朴』(晋遊舎)

 格闘技をテーマとしたマンガの題材といえば、すぐに思いつくのは空手、拳法、ボクシング、プロレス、総合格闘技といったところでしょうか。日本の国技、相撲のマンガもあるといえばありますが、ちょっとキワモノ感が強いです。平松伸二先生の『どす恋ジゴロ』なんて、実際の相撲のシーンよりもベッドで夜の大相撲をやってるシーンのほうが多いぐらいです。

 ところで、お隣韓国の国技「テコンドー」をテーマとした珍しいマンガが存在するのはご存じでしょうか? しかも、日本の雑誌に掲載された日本人向けのマンガであるという、異色すぎる存在。その名も『テコンダー朴』です。

 『テコンダー朴』の最大の特徴は、韓国の国技としてのテコンドーを扱ったマンガであると同時に、強烈な反日メッセージを盛り込んだマンガでもあるところです。主人公のテコンドー使いの青年、朴星日(パク・スンイル)が、邪悪で卑怯なチョッパリ(日本人野郎)をブチのめすシーンというのが、この作品の肝となっています。

 なにしろ、マンガ内に出てくる日本人がことごとく卑劣なクズ野郎なのです。このマンガを読む限り、日本人はブチのめされてもしょうがない奴らの集まりです。

「薄汚ねえ在日野郎はさっさと韓国に帰って犬でも食ってろよ!」
「在日刈りだぁ?」
「汚ねえ朝鮮■落をブッ潰してやる!!さっさと日本から出て行きやがれー」

 こんなセリフを吐きながら韓国屋台料理の店を破壊したり、在日韓国人の女子どもを容赦なく襲う日本人たち。うわぁ……日本人クズすぎる! 日本人って、こんな『北斗の拳』のモヒカン族みたいな国民性だったのか。最悪ですね!!

 そんな憎き日本人に、朴の怒りのテコンドー奥義が炸裂します。両手を合わせて人差し指で相手を鋭く突く、その必殺技の名は「重根(チュングン)」。この重根は、伊藤博文を撃ち倒した韓国の英雄、安重根の拳銃をイメージした技(型)です。決してカンチョーではありません。そのほかにもいろいろとテコンドーの奥義が出てきますが、どれもこれもすごいです。

「奉昌(ボンチャン)」昭和天皇に手榴弾を投げつけた韓国の独立運動家、李奉昌をモチーフにした技

「統一(トンイル)」テコンドー最終奥義とされる南北朝鮮の統一の決意をあらわしている技

 ……などなど。蹴り技イメージの強いテコンドーのイメージを覆す手技の数々が登場します。このうち、「重根」「統一」は日本国際テコンドー協会でも紹介されている実在のテコンドー型となっています。抗日のシンボル的存在である安重根をモチーフにしたり、南北朝鮮の統一を願った奥義があるとは、なんて政治的意味合いの強い格闘技なんでしょうか……。美女と毎晩夜の千秋楽を迎えまくってる日本の国技マンガとは、シリアスさが全然違いますね。

 ちなみに作品中では、テコンドーは5000年の歴史があり、空手、柔道、剣道、相撲などあらゆる日本の格闘技が韓国起源であるとか、金剛力士像はテコンドー武芸者の姿がモチーフになっているなど、日本人なら確実に衝撃を受けそうな起源アピールも盛り込まれております。5000年の歴史を誇っているわりに奥義の名前が「重根」とか「統一」って、えらく現代的な気もしますけど。

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