高所、灼熱と極寒、異世界、廃墟……世界中の絶景を集めた『行ってはいけない! 危険な絶景』
#本
世界には、立ち入り禁止、アクセス困難、極限の環境……とわかっていても、どうしてもこの目で見てみたいと思わせる、とんでもない絶景が存在している。海外へ行くと、安全第一の日本では絶対に考えられない配慮のなさで、自分の身は自分で守りやがれ! 死んじゃっても知らないよ、とばかりに野放しに開放され、その分、絶景が満喫できて感動も大きいことが結構ある。
たとえば、ペルーの世界遺産「マチュピチュ遺跡」のような超有名観光どころ。実際に行ってみて驚いたのは、自由にあちこち歩き回れるということ。入り口から順路通りに進み、出口へというようなお決まりのルールがなく、高所の崖っぷちに造られた遺跡ながら、柵がない。うっかり足を滑らせたら即死間違いなしの場所がいくつもあるが、自由な移動を許されているからこそ、南米のダイナミックな自然とともに遺跡を大満喫でき、ずっとここにいたいという気持ちにさせられた。
『行ってはいけない! 危険な絶景』(竹書房)は、ページをめくるたび「ほぇ~、世界にはこんな場所があるのか!」と驚かされる、世界中の絶景を集めた一冊である。「思わず膝が震える!高所の絶景」「極限の地だけで見られる神秘 灼熱と極寒の絶景」「ここは本当に地球?異世界の絶景」「戦慄と悲哀を覚える世界 廃墟の絶景」の4つのテーマを軸に、大きな写真と詳しい紹介文で、世界約50カ所を紹介している。
年間100人が命を落とすといわれる、断崖絶壁を伝い歩く中国の命がけの登山道、パキスタンにあるワイヤーと木片だけで作られた今にも壊れそうな世界最恐の橋、世界で最もマグマに近づけるバヌアツ共和国の山など、まさに近づくことも危険な絶景ほか、最近話題を集めている空が湖に反射するボリビアの塩湖や、セネガルの美しいピンク色に染まる湖など、日本から簡単にはたどり着けないものの、ちゃんとした手順を踏めば誰でも立ち寄れる絶景スポットまで幅広い。
また、本書の中でも異彩を放っている「廃墟の絶景」の章では、絶景かどうかは不明だが、超ホラースポットが紹介されている。たとえば、ドイツ・ブランデンブルク州の州都・ポツダムのほど近くにある廃病院「ベーリッツ・サナトリウム」は、かつてアドルフ・ヒトラーが下級兵だった頃、治療のために入院していたこともあるという病院で、激しく荒らされた手術室跡ほか、建物内は独特の退廃的な空気を漂わせ、興味本位で訪れた人は、みな一様に押し黙ってしまうという……。ほかにも、人骨で装飾されたチェコにある骸骨寺院、無数の人形で埋め尽くされたメキシコの人形島など、恐ろしくも気になるスポットばかり。
この本を参考に旅をすれば、刺激たっぷりなこと間違いなし。ただし、行くにはそれなりの覚悟と、もちろん自己責任でヨロシク。
(文=上浦未来)
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