こんな問題に人生を弄ばれていたのか!『絶対に解けない受験世界史―悪問・難問・奇問・出題ミス集』
#本
人生を左右する大学受験。それを通過してきた人の中には「まさか、あんな問題が出るとは……」という苦い思い出を持っている人も多いんじゃなかろうか?
筆者もそうである。「世界史で90点以上取れるから大丈夫だろう」と軽く合格を予測していた某大学の入試。問題用紙を開くと、掲載されていたのはスペインの19世紀末~20世紀前半を問う問題だった。教科書レベルを越える出題範囲でした、ハイッ!
『絶対に解けない受験世界史―悪問・難問・奇問・出題ミス集』(社会評論社)は、人生を左右する局面に登場した、とんでもない出題を集めた一冊である。大学受験の必須アイテムである赤本をイメージした装丁。掲載されているのは、さまざまな大学で実際に出題された難問・悪問、そして出題ミスなのである。いくつか引用してみよう。
●慶応大学文学部<悪問>
問題3 (南ア戦争=ブール戦争)戦争は、イギリスにとっては(F)戦争以来の長期戦となった。
●早稲田大学国際教養学部<出題ミス>
問題1 問3 下線部2の地(編註:現在のシリアの首都)を支配したことのない王朝はどれか。ア~エのうちから一つ選びなさい。
ア アッバース朝
イ ササン朝
ウ マルムーク朝
エ ウマイヤ朝
わかるだろうか? 前者はクリミア戦争が当てはまりそうだが、「長期戦」をどう捉えるかで回答が分かれてしまう問題だ。
後者はササン朝を答えにしたかったのだろうが、「支配したこと」は、すべての王朝があるのだから、一つは選べないのである。
作者は、こうした人生を左右する入試での、トンデモ問題にひとつひとつツッコミを入れていく。この問題でも「この作題者は多分ホスロー2世知らないよね」とか、容赦ない。またクラシックミュージックを扱った慶応大学の難問では「慶応大学の商学部を受けるような層にとっては“クラシックは一般教養の範囲内”という判断は可能かもしれない」と記す。
そして、この本は464ページもあるのだが、掲載されているのは2009年以降のもの。わずか5年あまりで、こんなにトンデモ問題が出題されていたというわけである。「人生懸かってるのに、何してるんだ!」そんな怒りを感じるのは、筆者だけではないハズだ。
(文=昼間たかし)
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