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日刊サイゾー トップ > 海外  > 中国1,000元札を導入できない理由

最高額面紙幣がたった1,750円! 経済大国・中国が1,000元札を導入できない理由

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 高級ブランド店で、赤い人民元の札束を指でペラペラと数える恰幅のいい男。中国の成金を象徴するような姿であろう。しかし、彼らも好きでやっているわけではない。

 現在、中国の最高額面紙幣は100元札(約1,750円)。人民の購買力と比較すると、もはや小額すぎるといえ、高額の支払い時には不便である。人民からは1,000元札(1万7,500円)待望論も出ているが、簡単に導入できない事情もある。偽札の横行だ。


 過去10年にわたり、偽札押収量が国内最多となっている広東省では、今年上半期に1億2,700万元(約22億2,300万円)分の偽札が押収された。また9月には、浙江省台州市で地元警察が偽札密造グループを摘発し、通し番号がすべて同じ100元の偽札824万元(1億4,400万円)分を押収したばかりだ。さらに銀行のATMで現金を引き出したところ、偽札が出てきたという被害も相次いでいる。

 近年出回っている“Sクラス”と呼ばれる精巧な偽札は、大規模な犯罪組織が製造しているものだが、その流通を許す人民のモラルの低さも問題となっている。中国の重慶のあるバス会社が公表したところによると、運営する2つの路線で1年間に受け取った偽の人民元乗車賃額が5~6万元(87~105万円)に上った。

 乗客は、乗車時に運転手横に設置された箱に乗車賃を投入する仕組み。投入時に見過ごしてしまえば、バスが車庫に入って精算をする時まで偽金とはわからない。子ども用のおもちゃの札のほか、ゲームセンターのコイン、毛沢東の顔が孫悟空に替わっている粗雑な偽金も含まれていた。バスの運転手によると、この一年で捕まえた偽金使用犯は、ひとりの小学生のみだったという。

 まさに大人から子どもまでもが偽札・偽金の流通に加担する中国。新たな最高額面紙幣の導入には、偽造防止技術の革新を待たなければならないというわけだ……。
(文=牧野源)

最終更新:2014/10/15 14:00
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