北朝鮮版AKB48? それとも少女時代? 北朝鮮のアイドルグループ「モランボン楽団」とは
#北朝鮮
情報が閉ざされた独裁国家「北朝鮮」。国民は北朝鮮当局のプロパガンダ情報のみを与えられ、洗脳されているといわれているが、国家主導で作られるすべての文芸作品は、金日成一族(金日成、金正日、金正恩)を偶像化するワンパターンでつまらないものだと思われるだろう。
しかし、そんな北朝鮮にも、実に魅力的なエンタメ文化が存在した。その中でも、とりわけ熱い視線が注がれているのが、「モランボン楽団」だ。
モランボン楽団が結成されたのは、金正恩第一書記が名実共に北朝鮮の指導者となった2012年。お披露目公演で衝撃的なデビューを果たしたモランボン楽団は、北朝鮮国内のみならず、海外の北朝鮮ウォッチャーの度肝を抜いた。ステージは派手な照明で彩られ、北朝鮮からすれば不倶戴天の敵である「米帝(アメリカ帝国主義)」文化を代表するディズニーの着ぐるみが登場し、バックスクリーンには『ロッキー4』の映像まで流れた。
演出以上に驚かされたのは、全員女性で構成された楽団メンバーの装いだった。ボーカル7人(後に8人となる)、ギターとドラムなどの楽器演奏者11人を含む18人(後に19人)編成。それまでの北朝鮮楽団の舞台衣装といえば、民族衣装(チマ・チョゴリ)や軍服など地味なもの多く、化粧はデーハー系でヘア・スタイルなどは、一昔前の場末のスナックをイメージさせる古くさいものだった。
しかし、モランボン楽団のメンバーの多くは、ショートカットでスッキリとしたヘア・スタイル。時には、体のラインがくっきり見えて肩も露わな黒のロングドレスや、派手な色のボディコン(!)衣装に身を包み、「セクシーさ」を強調しており、韓国の「少女時代」を意識したような白い軍服姿(下半身はタイトなミニスカート)まである。
ステージアクションでは悩ましく腰を振り、体を斜めにして流し目で、高音を基調とした歌声と重唱の美しいハーモニーを響かせた。そして、歌の最後を締めくくる派手なキメのポーズ! いささか世界標準からは遠いものの、それまでの北朝鮮歌謡(NK-POP)とは一線を画すものだった。
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