入店拒否の飲食店やタクシー乗車拒否も……エボラ出血熱騒ぎで中国に広がるアフリカ人差別
#中国
エボラ出血熱の感染拡大が止まらない。世界保健機関の発表によると、感染者は西アフリカを中心に、2000人に達しようという勢いだ。
一方、西アフリカから遠く離れた中国でも、感染への恐怖を背景に黒人差別が横行している。
特に顕著なのが、30万人以上のアフリカ系住民を擁する広東省だ。省都広州市の旧市街地区にある三元里は、衣類や革製品の卸売市場があることから、10数年前から買い付けに訪れるアフリカからの貿易商で賑わいを見せていた。その後、彼らの一部が定住化したことで、合法不法合わせ、10万人以上のアフリカ出身者が住む、アジア随一の「リトルアフリカ」へと発展している。
そんな広州市で、アフリカ人排斥の現場を目撃したというのは、同市在住の日本人男性だ。
「飲食店に入ろうとした二人組の黒人が追い出され、揉めごとになっていたのを目撃しました。理不尽な対応に、彼らが英語で抗議していると、店が通報したのか警官がやって来た。店員が『ほかの客が嫌がるから』と説明したのですが、その警官は自分の口を手で押さえながら彼らに近づこうとしない。5メートルくらい離れた距離から二人に、つたない英語で立ち去るように命じ、彼らは仕方なくその場をあとにしていました」
同市在住の日本人女性もこう話す。
「地下鉄で、黒人が乗ってくると、中国人の乗客は露骨に嫌な顔をして別の車両に移動する。また、『ラッシュ時なのにやたら空いているな』と思ったら、その車両に黒人の乗客が乗っているということが多々あります。以前だと、農村から出てきたばかりの田舎者が黒人を珍しがって、携帯電話で写真を撮ったりしていたのですが、そうした光景も見られなくなった。また、知人がタクシーを拾って、行き先を告げたところ『エボラが怖いから行きたくない』と乗車拒否されたそう。その行き先は、アフリカ人が多く住むエリアだったんです」
もともと黒人に対する偏見が根強い中国に暮らすアフリカ系住民は、エボラ騒ぎでさらに肩身の狭い思いをすることになりそうだ。
(文=牧野源)
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