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スク水姿の刈谷友衣子が「私の毛を剃って」!? 抱腹絶倒の青春映画『スイートプールサイド』

watashinootoko_main_large.jpg(C)2013『私の男』製作委員会

 今週紹介する最新映画は、日本の小説家と漫画家が描いた日本人ならではのテーマを、気鋭の若手監督が独特のセンスで映像化した意欲作。万人向けではないかもしれないが、込められたエネルギーと創意工夫が観客に強い印象を残す2作品だ。


 『私の男』(R15+/6月14日公開)は、人気作家・桜庭一樹が直木賞を受賞した小説を原作に、『海炭市叙景』の熊切和嘉監督が映画化した衝撃のドラマ。10歳で孤児となり、遠縁の男・淳悟(浅野忠信)に引き取られて、北海道紋別の静かな港町で育った花(二階堂ふみ)。他人と深く関わらず、互いを支えに暮らしていた淳悟と花だったが、ある日、町からほど近い海岸の流氷の上で殺人事件が発生。2人は逃げるように町を後にする。

 凍てつく北海道の景色に、2人の内面からにじみ出る虚無感が際立つ。10代の少女から大人の女へ変貌する二階堂ふみが見事。流氷の海に飛び込むなど、過酷なロケでの演技からはすごみさえ伝わってくる。浅野忠信は珍しく、だらしのないダメ男を説得力十分に演じた。共演に高良健吾、藤竜也ほか。女の哀しさと強さ、世間に受け入れられない関係の重さが余韻を残す1本だ。

 『スイートプールサイド』(公開中)は、押見修造による同名コミックを、『アフロ田中』の松居大悟監督が実写映画化した異色青春コメディ。局部に毛が生えてこないことに悩む高校生の年彦(須賀健太)は、同じ水泳部の毛深い綾子(刈谷友衣子)をうらやましく思っていた。そんなある日、綾子から「私の毛を剃って」と頼まれ、引き受けることに。綾子の腕の毛とスネ毛を毎週剃るようになった年彦は、やがて綾子に対して特別な感情を抱き始める。

 思春期の性を、ストレートな衝動や行為でなく、毛にまつわるコンプレックスとフェティシズムで表現した点がユニーク。ユーモアのセンスも抜群で、剃毛に挑む年彦の内面を、草や木、茂みのメタファーで表現する映像は抱腹絶倒だ。刈谷友衣子の、無垢な存在感と、自らを持て余しているかのようなたたずまいが印象的。前半は微エロなコメディ、後半はホラー気味に展開する構成もうまい。笑いとともに思春期の気まずい感じを思い出させてくれる、愛すべき青春映画がまた一つ誕生した。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

『私の男』作品情報
<http://eiga.com/movie/78264/>

『スイートプールサイド』作品情報
<http://eiga.com/movie/79148/>

最終更新:2014/06/13 21:00
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