朝日新聞「吉田調書」をめぐる報道から考える、大メディアの影響力
#出版 #元木昌彦 #週刊誌スクープ大賞
今週の注目記事
第1位
「朝日新聞の『吉田調書』スクープは従軍慰安婦虚報と同じだ」(「週刊ポスト」6/20号)
第2位
「『スマホ1日1時間以上』で子供の成績が下がる!」(「週刊文春」6/12号)
第3位
「W杯目前に緊急手術発覚!本田圭佑 本誌が報じていた『深刻な病名』」(「週刊文春」6/12号)
「実は『1次リーグで敗退濃厚』のブルーな現実」(「週刊新潮」6/12号)
第4位
「“便乗値上げ”摘発リストを公開する」(「週刊ポスト」6/20号)
第5位
「山岸舞彩“本命アスリート”『深夜キス&抱擁1時間』撮った!」(「週刊文春」6/12号)
第6位
「北朝鮮拉致再調査 安倍側近が漏らした『帰国候補者』の名前」(「週刊文春」6/12号)
「日本政府が『横田めぐみさん』生存を絶対確信する証拠」(「週刊新潮」6/12号)
まず、今週の週刊現代と週刊ポストを見比べ、違いについて書いてみたい。現代の巻頭特集は「『人口4300万人』ああニッポン30年後の現実」、ポストは「朝日新聞『吉田調書』スクープは従軍慰安婦虚報と同じだ」。私はポストの記事を1位にあげたが、それは大メディアの報道の怖さを検証した重要性を勘案した結果である。
現代のほうも大テーマではあるが、今この時期にやらなければならないことかどうか疑問が残る。現代はそのほかに、日産ゴーンの年棒10億円に疑義を呈し、霞ヶ関の7月人事の動向や映画『アナと雪の女王』がなぜ空前の大ヒットしたのか、出生前診断で間違えた医者の責任をどう考えるかなどが載っている。
ポストは“便乗値上げ”摘発リストを公開したり、森永卓郎氏他に「認知症予備軍テスト」を受けさせてみたり、定年男たちに「オレたちを無職と呼ぶな!」と怒らせたりしている。
ジェネリックバイアグラを使って「仁王立ち!」はご愛敬で、W杯のSEX得点王は誰かはひねりすぎの企画ではあるが、読者の身近な関心や疑問、怒りに答えるのが週刊誌の大きな役割だとすれば、ポストのほうに軍配を上げないわけにはいかない。
だが週刊誌、それも出版社系週刊誌で、安倍首相が「集団的自衛権の閣議決定を今国会中にやってしまう」という暴挙を批判、反対する記事がほとんどないのは残念だ。日本が大きく間違った方向へ舵を切ろうというのに、週刊誌がいま、無気力であっていいはずはない。
さて、安倍首相は「北朝鮮政府との間で、拉致被害者を含むすべての行方不明者の全面的な再調査で合意した」と発表し、経済制裁の一部解除に踏み切ったが、焦点は横田めぐみさんが帰ってくるかであろう。
週刊文春では、めぐみさんが帰ってくる可能性があると報じている。
元警察最高幹部によれば、そもそも北朝鮮の言う再調査など必要ないという。
「北朝鮮では外国人、中でも日本人は、保衛部が所在を完全に把握している。あとは交渉に応じて『誰をどの順番で出すか』だけの話です。おそらく、一度に複数の被害者は帰さず、『小出し』にしてくるでしょう」
しかし、北朝鮮側がすでに死亡していると言っていためぐみさんが帰ってくれば、日朝関係が激変する可能性もある。安倍総理の側近は、期待感を露わにしてこう語っている。
「じつは官邸は、横田さんの件で『ある感触』を得ています。モンゴルでウンギョンさんに会わせたのも、そのシグナルのひとつと見ています。めぐみさんを帰すことで、北が一気に日本との距離を縮めてくる可能性も否定はできません」
週刊新潮に至っては「再調査で4人帰る」とし、日本政府はめぐみさんの生存を「絶対確信している」と報じている。
当初、北朝鮮は彼女について、うつ病で精神が不安定になり、93年3月、病院で自殺したと説明していた。もっとも、死亡証明として提出してきた証拠は嘘にまみれていたが、拉致問題に取り組んだ実績のある閣僚経験者はこう力説する。
「少なくとも2012年の段階では、外務省も拉致問題対策本部も、めぐみさんは生存していると確信していました。というのも、日本政府は、拉致問題の全容を把握する極めて有力な大物幹部を情報源に持っていた。その大物高官が、“生きているのは間違いない”と断言していたからです」
だが、帰せないのだという。
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