首都圏有名中華料理チェーンがバイト不足で倒産危機「役員クラスが現場ヘルプに……」
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「アベノミクスの弊害だ」と、一部の経済評論家たちがささやき始めている。
大手居酒屋チェーンのワタミが1996年の上場以来、初の赤字転落。8日発表の決算では純損益が49億円の赤字で、前年と比較すれば84億円のマイナス。その一因となったのが、人手不足による相次ぐ店舗閉鎖とされる。
ワタミは、若いアルバイトを低賃金で社員並みにコキ使ってきたといわれる、通称“ブラック企業”の代表格。しかし、過酷な労働環境が従業員離れを引き起こし、それを食い止めるために時給をアップ。結局は、人件費の増大に苦しめられるという悪循環がうかがえる。
「飲食店でのアルバイトの平均時給はここ2年ほど右肩上がりで、20円以上も増えています。ほかでも時給が上がっているのですから、ひとつのバイト先にとどまる理由がなくなり、ちょっと過酷だとほかへ移るという現象が起きているんです」(経済紙記者)
実際、ワタミだけでなく牛丼チェーンの「すき家」でも、人手不足により今年2月から123店舗が休業したことが伝えられている。都内の「すき家」で3月まで勤務していた20代男性によると「深夜営業を担当していましたが、昨年、人件費を抑えるためにバイト2人体制から1人体制に変えられ、トイレにさえ行けない現場に嫌気が差して退職した」という。
経済評論家からは、そもそも人件費を安く抑える発想がおかしい、という指摘が相次いでいる。安倍晋三首相が打ち出したアベノミクスは、社員を解雇しやすくし、残業代ゼロを導入するなど、企業にとって都合の良い政策という見方が強いことから、このアベノミクス的ビジネスモデルの悪影響だという声も少なくない。
店舗閉鎖の事業縮小では解決できそうにない企業もある。首都圏を中心に展開する、ある有名中華料理系チェーンではアルバイトの退職が相次ぎ、役員クラスが現場にヘルプに入る惨状だったが、現場からはついに「倒産間近」の4文字がささやかれるようになったという。
「人手不足で、店舗運営のクオリティが低くなったことが原因です。ヘルプで人が入っても、しょせんはヘルプ。接客や作業の連携が遅くなって、客からは不満の声が増えるようになりました。さらに、料理のメニューも手間のかかるものを削除していったので、明らかに客の評判が落ちました。店舗側の事情で客足が遠のいているので、解決策がないまま売り上げは下がる一方。近々いくつかの店を閉めますが、全体の利益が減ることを見越した社員たちのモチベーションが低下して、優秀な人材は早々に逃げている状況。いよいよ経営がヤバいと思います」(店長)
アベノミクス効果で消費が拡大したといわれるが、これは円安の恩恵がある企業に限られるという声もある。薄利の飲食系にとっては、景気回復の実感はなさそうだ。
(文=和田修二)
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