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話題騒然のドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』の監督が激白!

ホンモノの殺人者たちが演じた戦慄の再現映像!!「彼はアカデミー賞を受賞することを望んでいた」

aok_int_01.jpg『アクト・オブ・キリング』の製作に7年以上の歳月を費やしたジョシュア・オッペンハイマー監督。今も悪夢にうなされるそうだ。

 罪なき人々を1,000人以上も虐殺した殺人者を、1,200時間にわたって取材撮影した。それだけでも十分刺激的なのに、その殺人者と仲間たちに「どのように殺したのか、その様子を再現してくれませんか」と持ち掛けた。『アクト・オブ・キリング』は虐殺現場の様子を殺人者である本人たちが演じてみせたリアルすぎる再現ドラマと、その再現ドラマが作られていく過程を追ったメイキング映像で構成されたドキュメンタリー映画だ。本作で今年のアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にもノミネートされた米国人のジョシュア・オッペンハイマー監督が、インドネシアで殺人者たちと過ごした7年間を振り返った。

 『アクト・オブ・キリング』の中心人物は、ダンディさを漂わせたアンワル・コンゴなる人物だ。インドネシアでプレマン(英語のFree Manがなまったもの)と呼ばれる、地元のギャングたちのボスである。彼が大量殺戮を行ったのは1965年から翌年にかけて。当時のインドネシアではクーデター「9.30事件」が起き、スカルノ初代大統領(デヴィ夫人は第3夫人だった)からクーデターを鎮圧した軍部のスハルト少将に権力が譲渡されたばかり。不穏さが漂う社会状況の中、共産党関係者や権力側に反抗的な態度を見せた者、中華系の移民たちは次々と私刑に処せられていった。犠牲者の数はインドネシア全土で100万人に及ぶとされている。軍隊や警察に代わって汚れ仕事を請け負ったプレマンや民兵のリーダーたちは罪に問われるどころか、街の実力者となって現在に至っている。ジョシュア監督が取材撮影を申し込むと、彼らは映画スターさながらに颯爽としたいでたちでカメラの前に立ち、自慢げに武勇伝を語り始めるのだった。

──ピーター・ウィアー監督、メル・ギブソン主演映画『危険な年』(84)はスカルノ政権末期に起きた「9.30事件」を描いていましたが、クーデター後に100万人もの市民が虐殺に遭ったことは本作を観るまで知りませんでした。同時期に起きたベトナム戦争に比べ、あまりにも歴史の影に埋もれているように感じます。虐殺が起きたことは、インドネシアではタブー扱いされていたんでしょうか?

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