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爽快なアドベンチャーを疑似体験! ベン・スティラー監督・主演、人生賛歌の快作『LIFE!』

DF-03424crop.jpg(C) 2014 Twentieth Century Fox

 今週紹介する最新映画は、誠実だが地味な会社員が人生初の大冒険に踏み出すヒューマンドラマと、敵地で孤立した特殊部隊員らの死闘を描く実録ミリタリーアクション。前者は爽快なアドベンチャーを、後者は極限のサバイバルをそれぞれ観客に疑似体験させ、「生」の意味をあらためて考えさせてくれる(いずれも公開中)。


 『LIFE!』は、1939年に短編小説が発表され47年に映画化もされた『虹をつかむ男』をベースに、ベン・スティラーの監督・主演で現代のストーリーとして再映画化したドラマ。アメリカのグラフ誌「LIFE」の写真管理部で、臆病で不器用なウォルター(スティラー)は実直に働き、変化のない日々を過ごしてきた。彼の唯一の楽しみは、単調な現実から逃避して刺激的な空想にふけること。そんなある日、「LIFE」最終号の表紙を飾る大切な写真が行方不明になり、ウォルターは一大決心して冒険カメラマンのショーン(ショーン・ペン)を探す困難な旅に出る。

 組織の中で目立たない仕事をコツコツとこなし、どこか報われない思いを抱きつつ、勇気を出して人生を変えたいと願う……そんな主人公に共感する人も多いはず。ウォルターの視点で現実が継ぎ目なく空想の世界に移行する演出が斬新で、VFXの活用もひねりが効いている。アイスランド、ヒマラヤと、ウォルターがショーンを追って旅する辺境の絶景も文句なく素晴らしい。めくるめくスペクタクルを堪能したあとで、身近な日常をしみじみ愛(いと)おしいと実感させてくれる、まさに人生賛歌の快作だ。

 『ローン・サバイバー』は、米海軍特殊部隊ネイビーシールズ創設以来最大の悲劇とされる作戦を、マーク・ウォールバーグ主演で映画化した軍事アクション。2005年6月、マーカス(ウォールバーグ)ら4人のシールズ隊員は、アフガニスタンの山岳地帯でタリバン兵のキャンプを偵察する任務に赴く。だが地元のヤギ飼いに遭遇し、民間人殺害を禁じる軍規に従い彼らを解放したことで、200人を超すタリバン兵の攻撃にさらされる。

 極限の状況を生き延び、奇跡の生還を果たした唯一の隊員が執筆したノンフィクションが原作。監督は、『キングタム 見えざる敵』(07)、『バトルシップ』(12)など、テロや戦闘をめぐる人間ドラマとミリタリー系アクション描写を得意とするピーター・バーグ。山岳での銃撃戦の迫力は当然だが、主人公らが岩場の急斜面を体中ぶつけながら転げ落ちるシーンが異様なリアルさで描かれ、見ているほうまで痛みが伝わるかのような衝撃だ。序盤には軍の求人CMかと思うほど、新兵らが過酷な訓練でしごかれ精鋭部隊を目指す様子が相当な尺で描かれるが、このパートによって、自らの生存本能をも超克するシールズ4人の絆が説得力を持つとも言える。アフガニスタンの人々を画一的に描かず、さまざまな主義や信念を持って生きている、観客と同じ人間だということを伝えている点も見逃せない。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)

「LIFE!」作品情報

「ローン・サバイバー」作品情報

最終更新:2014/03/22 15:00
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