深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】vol.260
ハローワークにはない闇ビジネスの就職読本! この世の“生き地獄”をシミュレート『東京難民』
2014/02/21 19:30
#映画 #パンドラ映画館
平凡な大学生・修(中村蒼)の目を通して超シビアな格差社会の現状が描かれる『東京難民』。もしもに備え、今から免疫力を付けておきたい。
今はフリーターとして生活できているけど、将来のことは分かんない。フリーター仲間ともそのことは話さないし、考えれば考えるほど頭がぼーっとしてくるので、なるべく先のことは考えないようにしてる。そんな人にオススメな映画が『東京難民』。映画館のシートに座っているだけで、ジェットコースター感覚で現代の地獄めぐりに案内してくれます。ごくフツーの大学生があっという間にネットカフェ難民、寮暮らしのホスト、日雇い労働者、そしてホームレスにまで堕ちていく過程を疑似体験できちゃいます。
東京の私立大学に通う修(中村蒼)が最初に失うのは、大学のIDナンバー。九州にいる親からの仕送りでお気楽な学生生活を送っていた修だったが、学費未納のために除籍扱いとなり、教室に入れなくなってしまう。どーせこんな三流大学を卒業してもまともな企業に就職できね~よと捨て台詞を吐いてキャンパスを去る修。実家に帰省した修は、会社経営がままならず親が夜逃げした事実を知る。まだこの時点では「情けねぇ親だ」と悪態を突く余裕があった。だが、東京に戻った修はアパートからも追い出されてしまう。敷金礼金の要らない「ゼロゼロ物件」を借りていたため、1カ月支払いが遅れただけで締め出されてしまったのだ。学生という身分、身元保証人、さらに現住所を失ってしまった修。残り少なくなった所持金をパチンコで増やそうとするが、冷静さを失ったギャンブルほど怖いものはない。修の財布は小銭がわずかに残るだけに。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
04:20更新
イチオシ記事
山岳民族に残る「嫁さらい」の実情を追う 『霧の中の子どもたち』と日本の非婚化