老舗芸能プロ「アトリエ・ダンカン」の破産で浮き彫りになった、舞台制作の高すぎるリスクとは
NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』に出演中の尾藤イサオや木の実ナナらが所属する老舗芸能プロ「アトリエ・ダンカン」(東京)が今月1日付で事業を停止。自己破産申請の準備に入ったことを3日、帝国データバンクが明らかにし、芸能界に衝撃が走っている。
「アトリエ・ダンカン」は1979年に設立され、舞台製作を中心にタレントのマネジメントを手がけていた。負債額は調査中だというが、所属タレントのマネジメントによる手数料や舞台製作に伴う収入が減ったことなどが要因とみられている。
「大手信用調査会社のデータによると、直近の12年9月決算では7.5億円の売り上げを計上していた。08~10年まで売り上げが10億円を超えていたが、11年に8億円にダウン。そのあたりから会社が傾き、事業停止に追い込まれてしまったようだ」(週刊誌記者)
同社といえば先月、今月から都内で上演が予定されていた、プロデュースを手がけるロックミュージカル『ピンクスパイダー2014』の公演中止を発表したばかり。
「都内のみならず、大阪・福岡などでの公演も予定されていたが、チケットがまったく売れず、採算のメドが立たず中止に追い込まれていた。違約金や劇場のキャンセル料などで、負債が雪だるま式に膨らんでしまったようだ」(演劇関係者)
同社にはほかに、ミュージカルを中心に活躍中の俳優・山崎育三郎らがいるが、かつては萩原健一、森公美子、七瀬なつみ、森山未來らが所属。現在の所属俳優たちに今後どこが“救いの手”を差し伸べるかが気になるところだが、今回の件で舞台製作を手がけることによる高すぎるリスクが浮き彫りになってしまったようだ。
「ほとんどの舞台公演の儲けは、客席数に応じて売れたチケットの売り上げ。チケットが売れなかったら、出演料や経費でたちまち赤字になってしまう。おまけに、ギャラの割に稽古と公演で拘束時間が長いから、よほど名のある演出家じゃないと、売れっ子の俳優・女優は敬遠する傾向にある。何度か舞台公演をやって赤字だと、それを埋め合わせるために次の公演を売る、という自転車操業の状態に追い込まれるので、一度ハマったら抜けられない。近年のアトリエ・ダンカンは、ひどい自転車操業の状態。今後、積極的に舞台を手がけている某大手プロも見直すことになるだろう」(同)
こと演技に関しては、ドラマや映画に比べて格上の感じがする舞台公演だが、よほどの人気公演でない限りは、お金にはならないようだ。
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