業界からも非難の声! 氾濫する日本向け無修正配信サイトがAVを衰退させる
#アダルト
日本のAV業界を衰退させる存在は、国内に存在した! 海外にサーバーを置くことで法の網の目をくぐり抜ける「無修正」を売り文句にした動画配信サイトが、それだ。
昨年11月、販売目的で無修正のワイセツ動画を制作したとして、制作者や女優、男優らが静岡県警に逮捕される事件があった。
この事件は、逮捕された関係者の中に小学校で非常勤講師を務める女がいたことが大きくクローズアップされたが、その制作目的は海外サーバーを利用した販売である。海外のいくつかの国では、日本のように性器へのモザイクが不要である。インターネットが一般に普及して以降、そうした国にサーバーを設置することで警察当局の追及を逃れ、日本向けの配信を行うサイトはいくつも存在する。そうした作品の多くは、国内で制作した後に、海外にデータを送付する形を取っている。今回の摘発は、そうした行為が「販売目的」と判断された形だ。
果たして、この事件に対してAV業界には、どのような反応があるのか?
実は、多くのAVメーカーでは、警察当局による摘発を歓迎する声が強い。その理由は、法の網の目をくぐる行為が業界全体を抑圧することへの危機感だ。あるAV業界の関係者は、次のように語る。
「今の日本では、AVでの性器の露出がワイセツ罪に該当することが法によって定められています。法律がある以上は、それに従わなければならないのではないでしょうか」
ほとんどのAVメーカー、審査団体はワイセツ罪が存在することを前提として、ユーザーに満足してもらえる表現を生み出すために、試行錯誤を繰り返している。それゆえ、こうした海外から配信される無修正サイトに対しては、努力を無にする存在だと認識しているのである。中には「無修正の配信サイトは、違法アップロードがあふれるFC2と並ぶ業界を衰退させかねないもの」と話す関係者もいる。
ワイセツ罪をめぐっては、戦後の長きにわたって、AVのみならず、小説、マンガでも幾度となく「表現者 VS 国家権力」の丁々発止が続いてきた。有り体にいえば、AVの場合は「性器を見せることができないならば、これで!」と、度肝を抜くアイデアで新たな表現を生み出してきたのだ。そして、いまやAVは、寿司や天ぷらと並ぶ、クールジャパンの主力ともいえる存在だ。これまでの業界の努力に後ろ足で砂をかけるような無修正配信サイトは、業界全体を衰退させる危険性を持っている。
現在、アダルトメディアの主流はインターネットに移行している。かつて、最も手軽なアダルトメディアであった雑誌は、右肩下がりを続け「いずれ業界は消滅する」ともいわれている。これに対して、AVはインターネットで最新作が配信されるようになり、時代の流れにもうまく対応しているジャンルといえる。
AVに限らずマンガでも同様だが、アダルトメディアを扱う業界では、ギリギリの表現を守るべく行政や国家とギリギリの攻防を繰り広げる人々がいる一方で、無自覚、無責任に過激な表現を垂れ流すことしかしない人々が存在する。責任を取る覚悟もない人々に「表現の自由」を与える必要はない。
(取材・文=昼間たかし)
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