自動車からセロリまで……中国労働者の年末賞与「天国と地獄」
#中国
春節(旧正月)を迎えた中国で、さまざまな企業の年末賞与が話題となっている。
例えば、山東省のある上場企業では、優秀な社員52人に、賞与として自動車を贈呈した。車52台の時価総額は、650万元(約1億900万円)以上に達するという。
しかし、そんな羽振りのいい会社は少数派だ。重慶市に住むネット市民が投稿したところによると、なんとセロリ2束を勤務先から賞与として受け取ったという。そのほか、洗剤のセットやティッシュペーパーといった粗品を受け取った労働者も、涙の報告を寄せている。
一方、浙江省金華市では「忘年会で飲んだ酒の量で賞与額を決定する」というユニークな企業も出現。「男性従業員は焼酎1杯で500元(約8,300円)、ワイン1杯で200元(約3,300円)、ビール1杯で100元(約1,600円)。女性従業員はその倍額」というルールだったという。酒を飲めない人にとっては不公平だが、「酒量はセールスを左右する」という社長に考えに基づくものだという。
内容も評価基準もユニークな年末賞与だが、広東省ブロック紙の社会部記者によると中国独自の事情があるという。
「景気後退と人手不足が同時に起きている中、中国の企業は春節休みに郷里に帰省した労働者が、そのまま帰ってこないという現象に頭を悩ませている。大手人材サイト『智聯招聘網』が主要28都市のホワイトカラー1万人以上を対象に行った調査によると、回答者の7割以上が、「年末賞与がもらえなければ、年明けには転職する」と回答している。中国の年末賞与は、先行投資をした人材に逃げられないよう、『年が明けたら必ず帰ってきてね』という意味合いがある」
しかし、セロリ2束で戻って来てくれる労働者がいたとすれば、よほど会社に忠誠心があるか、ほかに働き口がないかのどちらかであろう……。
(文=牧野源)
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