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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > ポン・ジュノ、宮崎アニメ語る
SF大作『スノーピアサー』公開記念インタビュー

ポン・ジュノ監督が宮崎アニメについて語った!「SFとアニメは作家のメッセージが最も発露する」

pj_0131.jpg韓国・フランス・米国による合作映画『スノーピアサー』を演出中のポン・ジュノ監督。チェコで巨大セットを組んで撮影が進んだ。

 ディープなオタク心と鋭い社会批評性を持ち合わせたポン・ジュノ監督は、世界で最も注目される映画監督のひとり。『グエムル 漢江の怪物』(06)では怪獣映画の正しき進化の形を提示してみせ、『母なる証明』(09)では“母と子”といういちばん身近な人間関係をサスペンスフルなドラマに仕立てた。そして製作費約40億円を投じた最新作が『スノーピアサー』だ。環境破壊によって氷河期を迎えた近未来、残された人類は地上を走り続ける弾丸超特急スノーピアサー号の乗客だけに。そして17年間走り続けた列車の中は厳格な格差社会となっていた。主人公のカーティス(クリス・エヴァンス)らは支配階級の圧政に蜂起し、スノーピアサー号に隠された秘密を暴く。映画界の若き巨匠が日刊サイゾーのインタビューに応じた。

──ポン・ジュノ監督の新作は、いつも驚きと同時にどこか懐かしさも感じます。人類滅亡後も走り続ける特急列車を舞台にした『スノーピアサー』を観て、70年代に日本でテレビ放映された『未来少年コナン』や『銀河鉄道999』を思い出しました。84年に発表されたフランスのグラフィックノベルが原作ですが、日本アニメの影響もありますか?

ポン・ジュノ おぉ、『未来少年コナン』! 僕の中学時代をほぼ支配したアニメですよ(笑)。『コナン』を観たのは中学2年のときで、僕にとって初めて観る宮崎駿作品でした。何度も何度も繰り返し観て、さらに自分の頭の中で反芻する毎日でした。シーンとシーンはどのようにつなぐのか、カットをどのように割るのか、演出という概念を僕は『コナン』を観ることで学んだんです。『銀河鉄道999』も僕が子どもの頃に非常に人気のあるアニメでした。日曜日の朝、早起きしてよく観たものです。特に雨の日曜日に観る『999』が思い出に残っています。あのメランコリックな世界観は、雨の日曜日にぴったりでした。メーテルのセクシーさは、子ども心に焼き付いています(笑)。でも、『コナン』も『999』もずいぶんと昔に観た作品なので、今回の『スノーピアサー』に直接的に影響を与えたというわけではないですね。

snow_p01.jpg後方車両で抑圧された生活を強いられるカーティス(クリス・エヴァンス)らは前方車両で優雅に暮らす支配階級への反乱を企てる。

■宮崎アニメには左派的視点が盛り込まれている

──そうですか……。『スノーピアサー』を観たことで遅ればせながら気づいたのですが、『コナン』も『999』も、実は支配階級へ反旗を翻す階級闘争のドラマだったんですね。少年時代のポン・ジュノ監督は、『コナン』や『999』といった日本アニメに込められていたメッセージ性をしっかり受け止めていたように思います。

ポン 確かに『コナン』は階級闘争の面が色濃く打ち出されていますね。インダストリアのパートでは地下で暮らす民衆が反乱を起こす様子が描かれ、とても印象的でした。宮崎駿監督の作品には、どれも左派的な観点が盛り込まれているように思います。『魔女の宅急便』(89)でさえも、日々労働しながら生きる主人公キキの生活が裕福な階級とは対照的に描かれていたのではないでしょうか。SFやアニメーションは、監督の思想性やメッセージが込めやすい表現形態なんだと思います。『999』に関しては、『スノーピアサー』とは正反対の世界でしょうね。『999』では鉄郎とメーテル以外は誰もいないがらんとした列車の風景が描かれていましたが、『スノーピアサー』は人間が飽和状態で乗り込んでおり、ギュウギュウ詰めになっていますから(笑)。

──日本のアニメに、とても精通されていますね。ポン・ジュノ監督が少年時代を過ごした1970~80年代はまだ日本と韓国は正式な文化交流はありませんでしたが、どのように日本アニメに接していたんでしょうか?

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