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松任谷由実、aiko、そしてmiwaへ 女性シンガーソングライターの美しき系譜とは?

【リアルサウンドより】

 2011年にリリースされたファーストアルバム「guitarissimo」でいきなりオリコン1位を獲得。昨年は自身初となる武道館公演を成功させ年末の紅白にも出場と、若手ミュージシャンのなかでは頭ひとつ抜きん出た感のあるmiwa。これまで松任谷由実からaikoらへ脈々と受け継がれてきた女性シンガーソングライターの系譜を引く継ぐ存在として、音楽業界内外から彼女への期待が高まっている。そこで今回はmiwaが先輩シンガーソングライターたちから引き継いだ「素養」に注目してみようと思う。

 ユーミン、aikoそしてmiwa。三者を並べて聴いてみるといくつかの特徴に気がつく。例えば歌唱法はそのひとつ。彼女たちはみな軽く鼻にかかったような歌い方をするのだが、これは「鼻腔反響法」という立派なテクニック。口と鼻の中で自分の声をいったん響かせてから発声する方法で、乾燥した気候の下で暮らす欧米人は(喉を傷めないため)自然とこの発声を身に付けるが、高湿度な環境下にある日本人は意識してトレーニングに取り組まないとこの技術は身に付けられないといわれる(よく日本人シンガーが「喉で歌っている」と形容されるのもこれが理由)。

 また女の子の気持ちを代弁したリアルな詞世界も三人の特徴といえそうだ。miwaは普段メロディーが先に出来上がり、あとからその曲に合った詞を考えるのに苦労するとインタビューで語っているが、彼女のインスピレーションの素、少女マンガに実体験を織り交ぜた真っ直ぐな歌詞は多くの女子たちから共感を呼んでいる。ソチ五輪のスキージャンプ女子個人ノーマルヒルで4位に入賞した高梨沙羅選手はmiwaのファンを
公言しており、これまでのジャンプスタイルに限界を感じていたときに「chAngE」を聴いて、新たなスタイル導入というチャレンジへ背中を押してもらったという。

 さらにひとつのジャンルに囚われず、幅広いジャンルの曲を手がけているのも彼女たちの共通点。三人とも出自の弾き語りにはじまり、ポップスからバラード、ロック調のものまで様々なスタイルの楽曲へ意欲的に取り組んでいる。そのような「枠にとらわれない」活動スタイルはmiwaが現在目指しているものであり、ユーミンやaikoがかつて切り開いてきた道でもある。もちろん優れたソングライティング能力についても忘れてはいけない。miwaの場合Naoki-Tという強力なプロデューサーが存在するのも大きい。昨年リリースしたアルバム「Delight」からはこれまで以上に二人三脚で曲作りをするようになったと本人は語っているが、miwaの持って生まれった良質なポップセンスにNaoki-Tの変幻自在なアレンジが加わることで、楽曲の幅が格段に広がりポップに「豊かさ」が加わったように感じられるようになった。

 2月12日には13枚目となるシングル「Faith」をリリースしたmiwa。およそ5ヶ月ぶりとなる本作は収録された3曲すべてにタイアップのついたシングルで、エレクトロを導入したロック曲「Faith」やポップ全開の新機軸となる「It’s you!」などバリエーション豊かな聴き応えのある作品だ。ぜひ実際に本作を手に取り、次世代を担うシンガーmiwaの「いま」を感じて欲しい。
(文=北濱信哉)

最終更新:2014/02/21 09:00
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